【兵庫県政の行き詰まり】「違法」指摘を受け入れない斎藤知事と、動けない県議会

目次

─ 統治崩壊の危機に、県議会はどう向き合うのか ─

2025年11月16日の産経新聞は、兵庫県政の深刻な膠着状態を象徴する記事を掲載した。
告発者処分の「違法」指摘を、斎藤元彦知事が依然として頑なに否定し続けている一方で、県議会は再度の不信任決議に踏み込めず、事態は1年以上にわたり動かないまま停滞している。

しかし、この“動かないことによる損失”がどれほど大きいかを、議会はどれほど自覚しているのだろうか。

https://www.sankei.com/article/20251116-FUAL3DUTJFOH3NJYEREK3RE4AM(出典:産経新聞)

第三者委員会も百条委員会も「違法」を認定

斎藤知事が処分した告発者に関して…

  • 百条委員会:公益通報者保護法に「違反している可能性が高い」
  • 第三者委員会:斎藤知事の対応は「明らかに違法」、パワハラも認定

にもかかわらず、知事は今もなお、

「適法に対応してきた」

と主張し続けている。

この頑迷さが県政不信を深刻化させ、多くの県民が政治から距離を置いてしまっている。

では、なぜ県議会は動かないのか

産経新聞は次のように報じている。

「かたくなに受け入れようとしない姿勢に議会からの批判は強いが、再度の不信任には慎重な意見が大半」

なぜか?
その理由は大きく3つある。

① 前回の“不信任の反省”

記事によれば、ある県議はこう語ったという。

「県民に十分な説明をせず、不信任に踏み切った反省がある」

これは、裏返せば“説明不足の責任を負いたくない”という自己保身の論理だ。

② 知事再選という「民意」を恐れている

昨年の知事選挙では、SNSのデマによる動員が強く働いた。
しかし、議会はそれを“純粋な民意”として扱わざるを得ず、判断をためらっている。

③ 自身も対抗馬を出せなかった負い目

対立候補をまとめられなかったため、「その後に強く出られない」という構造的弱さがある。

結果として、

県議会は知事と真正面から戦えず、県政の空白を放置してしまっている。

統治崩壊の危機に、議会はどう責任を取るのか

議会が「動かない」ことによって、県政はすでに壊れ始めている。

● 統治機能の崩壊

・情報漏洩が続発
・職員のコンプライアンス意識の低下
・知事の責任回避体質が固定化
・行政内部に告発者潰しの空気が広がる
・県民の不信が常態化

これらは、政治学でいう “統治の空洞化” の典型例だ。

このまま続けば、兵庫県の行政は立て直しに数年単位の時間が必要になる。

知事だけでなく、県議会も説明責任を放棄している

兵庫県政の最大の問題は、斎藤知事が説明責任を果たしていないこと――これはすでに多くの県民が感じています。

しかし、もうひとつ深刻なのは、「議会もまた、説明責任を果たしていない」 という事実です。

本来、知事の不正や違法行為をチェックするのが議会の責務です。
それにもかかわらず、第三者委員会や百条委員会が「明らかに違法」と指摘したにも関わらず、議会は再度の不信任を避け、知事を事実上“容認”する姿勢に傾いています。

知事の不法行為を「容認」しているのに…議会は異常だと感じていないのか

ここに、県民の強い疑問があります。

◎ 斎藤知事

  • 告発者処分は「適法」と主張し続ける
  • パワハラ認定も受け入れない
  • 情報漏洩も「指示はしていない」と完全否定
  • 会見でも説明を避け続ける

◎ 県議会

  • 第三者委員会は「違法」と断定
  • 百条委員会も「違法の可能性が高い」と認定
  • にもかかわらず、再度の不信任決議へ踏み込めない

この構造は極めて異常です。

“知事が違法行為を繰り返しても、議会は止めようとしない”
これは地方自治の仕組みが機能不全に陥っている状態です。

議会は「前回の不信任で説明不足があった」「知事再選という民意がある」などと自己保身の理由を並べていますが、その間にも、県政は崩壊へと進みつつあります。

今、最も異常なのは「異常だと認識していない議会」

政治の世界で最も怖いのは、

★「異常が日常になり、誰も異常だと思わなくなる」状態です。

兵庫県議会はまさにその段階に足を踏み入れています。

  • 違法行為が指摘されても知事は開き直る
  • 県議会はそれを止めない
  • 説明責任を果たすべき立場の者が誰も説明しない
  • 県政の信頼は失われ続ける

議会がこの異常事態を異常と感じていないのであれば、それは組織として末期的と言わざるを得ません。

県議会も県民に対する説明責任を負っている

議会は、知事を監視する立場であると同時に、有権者に対して説明する責任を負う公選職です。

県民がいま知りたいのは以下です:

  1. なぜ、違法行為を認定されたのに不信任を再提出しないのか?
  2. 議会が動かないことで生じる県民の損失をどう考えているのか?
  3. このまま膠着状態を続けることは、議会にとって責任放棄ではないのか?
  4. 議会は、自分たちが統治崩壊を助長しているという自覚があるのか?

これらに答えない限り、議会もまた「県政不信の当事者」でしかありません。

立花孝志の逮捕で「選挙の正当性」が揺らいだ

2024年兵庫県知事選挙では、立花孝志による虚偽情報(デマ)拡散が大量に行われ、SNS上での印象操作が選挙の雰囲気を支配した

そして今、その中心人物である立花孝志が、元県議に対する名誉毀損容疑で逮捕・送検された。

この事実は、選挙結果の正当性に重大な疑念を生じさせている。

  • デマ → 有権者の判断を歪めた
  • デマ → 選挙戦の構図を不当に操作した
  • デマ → 一部候補者に不当に有利に働いた

こうした“歪んだ環境の中で行われた選挙”は、
民主主義において本来求められる 「自由で公正な選挙」 の条件を満たしていない可能性がある。

デマに基づく投票は「民意」と呼べない

選挙の民意とは、本来こうあるべきです:

① 候補者に関する正確な情報
② 政策や人格についての公正な評価
③ 有権者の自由な判断

しかし、2024年の兵庫県知事選は明らかに違った。

議会は県民に説明せよ

議会は次を明確に答えるべきだ。

  1. このまま放置した場合、統治崩壊をどう防ぐつもりなのか?
  2. 崩壊した行政機能を正常化するのに、どれだけの時間とコストがかかるのか?
  3. その間に県民が被る不利益をどう補うのか?
  4. なぜ「動かない」ことが、議会として最善の判断だと言えるのか?

県政の崩壊リスクは“議会の判断ミス”によって大きくなっており、議会はその説明責任から逃げてはならない。

● デマが政策議論を完全に上書き

真偽不明の攻撃的な投稿が大量に拡散され、政策や実績よりも「怪情報」が選挙を支配した。

● 一部の候補に有利な印象操作が行われた

立花孝志の動画やSNS投稿は、特定候補を利するよう意図的にデマを流した疑いが強い。

● 有権者は誤った情報をもとに投票した

つまり、民意が歪められた 可能性が高い。

その中心人物が逮捕された以上、「この選挙は公正に行われたのか?」と問うのは当然である。

県議会が「選挙の正当性」を追及しないのは職務放棄に近い

本来、県議会には以下の責務がある:

  • 選挙の公正性が損なわれた疑いを調査する
  • 行政が恣意的にデマを利用していた可能性を検証する
  • 有権者の判断が歪められたなら、その影響を明らかにする
  • 再発防止策を制度的に整備する

しかし現状はどうか?

◎ 議会は選挙の正当性に一切踏み込んでいない

まるで

「選挙の結果は聖域」
と扱うかのように、議論さえ避けている。

これは極めて危険である。

◎ デマ選挙が許されれば、今後も同じことが繰り返される

悪質なデマを撒いた者が「選挙結果に影響を与えた後、逮捕される」という事態を議会が問題視しないのなら、兵庫県は今後ずっと“デマと印象操作に弱い県政”のままだ。

逮捕が示すのは「選挙に重大な瑕疵があった」という可能性

立花孝志の逮捕は、単なる一個人の刑事事件ではない。

次のような論理的帰結を持つ:

  1. 逮捕された → デマが刑事事件レベルで悪質だった
  2. そのデマが選挙中に大量拡散された
  3. 有権者の判断を不当に左右した
  4. その結果が選挙結果に影響した可能性が高い

つまり、

選挙の公正性そのものが揺らいでいる

という極めて重大な問題を示している。

県議会が追及すべき “5つの論点”

県議会は以下の点を避けてはならない。

① デマが選挙結果にどれほど影響したのか

SNS分析・選挙データ分析を踏まえ、客観的調査が必要。

② 特定候補に有利な情報操作が行われた可能性

第三者委員会も認定している“知事周辺の異常な組織文化”との関連性。

③ 知事側がデマを止めるどころか容認した疑い

記者会見での「表現の自由」発言が象徴的。

④ デマ拡散者と候補者陣営の関係

選挙法・政治資金規正法の観点から調査が必要。

⑤ 民意の歪みによる選挙の正当性

選挙の自由と公正が侵害された可能性がある以上、議会が無視するのは許されない。

県民はすでに「議会にも期待していない」

斎藤知事の問題を放置しているのは、もはや知事だけではない。

動かない議会もまた、県政不信を助長している当事者である。

自己保身のためか、党派配慮のためか。
理由はどうあれ、「戦わない」議会に失望する県民は確実に増えている。

議会が正しく動かなければ、
県民が行政の不正をただす手段は 検察審査会・住民監査請求・住民訴訟・メディア・市民運動 に頼らざるを得ない。

今こそ、議会は「もう一度、県政と県民の側に立つべき」

大正大学の江藤教授は、産経新聞の中でこう提言している。

「不信任からの1年を検証し、議会が住民や知事との議論の場を仕掛けるべきだ」

議会に求められるのは“先延ばし”ではなく、“行動”だ。

  • 特別委員会の再設置
  • 公開の説明会
  • 住民との対話の場の構築
  • 透明性ある検証プロセスの提示
  • 必要なら、再度の不信任を選択肢に戻すこと

これらはすべて、議会が本来負うべき義務だ。

結論:行動しなければ、議会も歴史の責任を負う

知事が違法指摘を受け入れない。
議会も動かない。

この悪循環こそが、兵庫県政の最大の“病”であり、
放置すればするほど、県政は取り返しのつかないほど壊れていく。

県議会は、「なぜ動かないのか」ではなく、「どう動くか」これを、今こそ県民に示すべき時だ。

立花孝志逮捕後、選挙の正当性を検証しない県議会は職務放棄である

今、兵庫県に必要なのは

  • デマによる選挙汚染の検証
  • 計画的な情報操作の可能性の調査
  • 選挙の正当性を回復するための議論
  • 有権者への説明責任

である。

これをしなければ、県議会は「知事の不正をチェックできない」だけでなく、選挙の公正性を守る役割すら果たしていない ということになる。

この問題を避けることは、議会としての責任放棄であり、民主主義の自殺行為だ。