【検証】国会で議論された重大事実が知事に届かない兵庫県庁──「風通しの良い職場」は幻想で、実態は“裸の王様”状態?
2025年11月19日の定例会見では、これまで以上に、知事が核心的な質問を一切正面から答えない姿勢が明確となりました。
特にフリーの赤澤記者が行った質問は、県政運営に直結する重大論点ばかりでありながら、知事はそのすべてを“回避”しました。
目次
第三者委員会費用の返却問題
「返す意思があるか?」に回答しない知事
議会で小西議員が明確に「取捨選択するなら費用は返却していただきたい」と述べているため、記者はその意思を知事に確認。
しかし知事は、返却するか否かについて一切答えず、次のフレーズを繰り返すだけでした。
「しっかり報告書の趣旨を承って…」
質問に対する回答ではありません。
“返す/返さない”という二択にすら応じない姿勢は、県議会での答弁とも噛み合っていません。
国会での“知事自身の発言”に関する大臣答弁
「チェックしていない」は異常事態
11月10日の衆議院予算委員会では、斎藤知事の3月26日の発言が再び問題となり、黄川田消費者担当大臣が次のように答弁しました。
「斎藤知事から訂正があったとは承知しておりません。」
これは極めて重い指摘です。
にもかかわらず、知事は会見で次のように答えました。
「特にチェックはしていない」
自分の発言について首相答弁と大臣答弁がなされたにも関わらず、速記録も見ない/担当部局と議論もしないという態度は、行政トップとしてあり得ません。
国会で議論された重大事実が知事に届かない兵庫県庁
──「風通しの良い職場」は幻想で、実態は“裸の王様”状態?**
11月19日の定例会見で最も象徴的だったのは、赤澤記者のこの質問です。
「どっかの部局から速記録とか上がってくると言うことは無いんですか、兵庫県? 予算委員会で知事の自らの発言について質疑があったのに、首相答弁もあったのに、それをチェックされていないと言うのは考えられないと思うんですよ。」
この問いは、単なる“情報共有の遅れ”ではありません。
県庁組織が機能していない決定的証拠となり得る内容です。
国会で「知事の発言」が議論されたのに、知事に報告ゼロ
通常、地方自治体のトップが国会で取り上げられた場合、行政組織としては次の動きが当然発生します。
- 関係部局が速記録を確認
- 知事に報告
- 内容に応じてリスク分析
- 対応方針の検討
- 損害回避のための広報整理
ところが、兵庫県ではこの当たり前のプロセスが一切行われていないことが明らかになりました。
知事は会見でこう答えています。
「特にチェックはしていない」
つまり、
- 速記録は上がらない
- 国会議論の報告も来ない
- 担当課と打ち合わせもしない
- 県庁として分析もしていない
という、自治体としてあり得ない情報断絶が起きています。
これは“意見を言わない”ではなく、“情報すら上がらない”段階
これは単なる「部下が遠慮している」というレベルではありません。
“国会で議論された事実すら知事に届いていない”
という点が極めて異常です。
通常の自治体で起きれば、組織崩壊レベルの危機管理問題です。
これは次のどちらかしかありません。
(1)部下が「知事に触れてはいけない案件」と認識している
つまり、
- 知事の不祥事に触れることがタブー
- 触れると逆ギレされる
- “地雷”扱いで関係部局が報告を避ける
これでは健全な行政運営は成り立ちません。
(2)知事の統治が完全に機能していない
トップとしての“情報の上がるルート”が壊れている状態です。
- 政策判断
- 不祥事対応
- リスク管理
- 広報戦略
すべてに影響し、誤った判断を積み重ねる原因になります。
「風通しの良い職場」と言いながら、実態は真逆
斎藤知事は再三「風通しの良い職場にしたい」と語っています。
しかし現実には、
- 部下が進言できない
- 国会の重大議論すら伝わらない
- 情報が上がらない
- 課題が矮小化される
- トップだけが“状況を知らない”
という、最悪の「裸の王様」状態が露呈しています。
本当の問題は、“知事が怒るから言えない”という空気
今回の問題の背景には、県庁内部の共通認識があると指摘されています。
- 感情的になる
- 指摘を嫌う
- 間違いを認めない
- 自分の非を認める場面がゼロ
- ミスを追及されると逆上する
こうした態度が根付くと、組織は“何も言わない”ことで自衛を始めます。
結果として、
知事は情報の届かない“孤立したトップ”になる
これが、今回の会見で可視化されました。
3月26日時点の“3号通報”の法的位置づけ
国会を巻き込んだ論点に、知事は沈黙を続ける
赤澤記者が繰り返し確認したのは次の一点。
「3月26日時点で、兵庫県は3号通報を保護対象としていたのか?」
これは単なる学術議論ではありません。
- 総理大臣が国会答弁
- 大臣が国会答弁
- 技術的助言が全国に発出
- 全国自治体や企業が体制整備を見直し
という“国政レベルの大問題”です。
しかし知事は終始、
「適切、適法、適正に対応してきた」
とだけ回答し、結論を言いません。
質問は「適法だったか」ではなく「3号通報は保護対象だったのか、いなかったのか?」という一点なのに、知事はこの論点から逃げ続けています。
なぜ知事は“事実”を語らないのか
この会見のやりとりから見えるものは極めてシンプルです。
- 何を聞かれても、
“質問の主語”と“回答の主語”をずらす - バレると困る論点には、
抽象語で逃げる - 国会で問題化しても、
自ら説明責任を果たさない
赤澤記者が最後に述べた
「理解出来ません」
は、多くの県民の率直な感覚でしょう。
混乱の源は“説明しない知事本人”
国会で取り上げられ、総理大臣が答弁し、大臣が答弁し、全国自治体が体制整備を見直す事態となっているにもかかわらず、兵庫県知事はその中心的事実について何も説明しません。
これでは県政の混乱が続くのは当然であり、国政まで巻き込み続けている原因は、他ならぬ知事自身の説明拒否です。
結論
11月19日の会見は、知事が“何も答えないこと”を示した象徴的な会見だった
地方自治体のトップに求められるのは、
- 透明性
- 説明責任
- 事実に基づく答弁
ですが、今回の知事の姿勢はそのどれも満たしていません。
県議会も記者も国会も同じ一点を尋ねているのに、
知事だけが永遠に“答えない”。
県政の信頼回復は、まずこの異常な状態を正すところから始まります。
また、国会での議論が知事に伝わらないという状況は、行政組織としてあり得ません。
この状態では、県政運営の健全性は保てず、政策判断の質も担保されません。
斎藤知事が「風通しが良い」と語る一方で、
現実はその真逆──
“情報が届かず、誰も何も言わず、知事が裸の王様になっている”
今回の会見は、それを決定づける象徴的な場面でした。





