斎藤県政が抱える深刻な構造的問題―批判者への攻撃を止めない知事と、萎縮する議会―

11月24日の毎日新聞の記事は、「斎藤知事と一部支持者による“圧力”の実態」が強烈に浮き彫りになっています。

https://mainichi.jp/articles/20251121/k00/00m/010/113000c

記事で明らかになったポイントは次の通りです。

批判者への攻撃を止めない知事と、萎縮する議会

現在の兵庫県政が置かれた“異常な構造”を非常に鮮明に描き出していました。

斎藤元彦知事が不信任決議で失職し、出直し選挙で再選されて1年。
その間、疑惑を追及した県議たちに対して膨大な中傷・嫌がらせが続き、政治家としての活動すら脅かされている状況が詳しく語られています。

この記事が示すものは、単なる「SNSのトラブル」ではありません。
議会制民主主義そのものが崩れつつある危険なシグナル です。

斎藤知事の沈黙=“サイレント承認”―これが民主主義破壊の本質

斎藤知事は、

  • 中傷被害を受ける県議がいても止める発信をしていません。
  • デマ攻撃の拡散にも沈黙しています。
  • 知事自身の支持者の暴走にも一切触れません。

本来、首長は批判者が安全に議論できる環境を守る義務があります。

しかし、斎藤知事はそれを果たしていない。

これは“サイレント承認(黙認による奨励)”に該当します。

結果として、支持者の暴走は“容認された行為”として継続し、議会のチェック機能は低下し続けています。

議会制民主主義の根幹を揺るがす事態です。

議員が「生活の安全」レベルで脅かされている現状

丸尾県議の証言は深刻です。

  • 知らない来訪者に強い恐怖を覚える
  • 午前3時に不安で目が覚める
  • 睡眠薬で眠る日もある
  • 自宅や事務所への中傷・物品送りつけ
  • SNSでは匿名アカウントから100件以上の攻撃

これはすでに政治的な意見の違いを超えた“人権侵害”レベルの被害です。

さらに、元県議竹内英明さんが亡くなったことも含めて、当事者やその家族がどれほど追い詰められてきたか、記事からははっきりと伝わります。

斎藤知事本人は「住所も防御もある」立場→ 対して県議は「生活の場」が晒され、被害はより深刻

斎藤信者はよく「最も誹謗中傷されているのは斎藤知事だ」と言いますが、構造的に状況は全く異なります。

●斎藤知事

  • 自宅住所は非公開
  • 警備で守られる
  • 直接凸(訪問攻撃)を受ける可能性はほぼゼロ
  • そもそも知事としての公権力・権威を背景に反撃できる

●県議(特に追及側)

  • 自宅住所が知られる可能性が高い
  • 事務所電話は家族が出ることもある
  • 郵便物・来訪者リスクは常に現実
  • 政治的圧力に対して個人で対処せざるを得ない
  • 名誉毀損・中傷被害にさらされても防御手段が弱い

つまり、斎藤知事と県議の誹謗中傷を“同じ土俵”で語ること自体が間違い です。

被害の深刻度も、影響範囲も、生活への侵入度もまるで違います。

「知事の支持者」が“群衆”として動き、議員を攻撃している構図

丸尾県議が言ったように、

実際の攻撃主体は立花ではなく、匿名の群衆。

この構造こそが問題の核心です。

  • 斎藤知事の会見・SNSでの発言
  • 支持者による切り取り投稿
  • 県議を人格攻撃する風潮
  • 「選挙で勝った知事に逆らうな」という空気
  • 斎藤信者による“吊し上げ文化”

これが「攻撃の合図」になり、一般ユーザーが“義憤の正義”を名乗って県議を攻撃する。

つまり、ポピュリズム型の“群衆の暴走”が県政に入り込んでいる状態と言えます。

議会制民主主義に対して極めて危険です。

県議会が萎縮し、県政チェック機能が麻痺している

記事の後半にあるように、

  • SNSで攻撃されるため発信を控える議員が増加
  • 活動報告をやめて無難なことだけ発信
  • 委員会での発言さえ「切り取られる恐怖」

議会の本来の仕事である “知事のチェック” が機能不全

この状態は民主主義の危機そのものです。

そして、萎縮させている原因は、

  • 立花孝志という火付け役
  • それを支持する一部斎藤信者の攻撃文化
  • そして知事自身の、攻撃を止める意思の欠如

つまり、斎藤知事には「止める側」の責任があるのに、実際は放置している。ここが最大の問題です。

「斎藤知事が操作しているのでは?」直接指示の証拠は無いが、“行動パターン上は黙認している”と評価されてもおかしくない

●直接の指示があれば犯罪

  • 公職選挙法
  • 名誉毀損
  • 威力業務妨害
  • 不当要求
  • 脅迫教唆

などで完全にアウトです。

しかし、斎藤知事は

  • 公の場で支持者を止めない
  • 批判を受けた議員が攻撃されても沈黙
  • SNSの切り取りを否定しない
  • 支持者の攻撃を結果的に容認している
  • 会見でも「批判は甘受すべき」として議員に“応戦”を促すスタンス

これらは“事実上群衆を動かしている指導者モデル”に該当します。

つまり、

●直接の命令はしていないが
●支持者は「知事のためにやる」と感じて動く
●知事は止めない
= 構造的に“操作”とほぼ同じ効果

このスタイルはトランプ前大統領の支持者暴走構造に極めてよく似ており、研究でも“危険なリーダーシップ形態”とされています。

「国会は動けないのか?」動けるが、“地方自治という壁”が強く、実際には動きにくい

国会が地方自治体に介入できるのは、以下のような例外的ケースのみ。

  • 地方自治法違反
  • 憲法上の権利侵害
  • 明確な職権乱用
  • 重大な行政法違反
  • 公金不正や背任
  • 公務員の不適切処分

しかし今回の問題は、

  • 政治的な言論弾圧
  • SNSでの群衆攻撃
  • 知事の沈黙による“見えない圧力”

という “グレーゾーン”にある現象 のため、国会で扱うのが極めて難しいのです。

また、

●地方自治に国が介入する=政治リスクが高い

●SNS問題は「個人間トラブル」と扱われやすい

●議員自身が声を上げにくく萎縮している

これらが国会での議論を阻んでいます。

ただし、「民主主義の防衛」という観点から問題化する余地は十分にあるとは考えられます。

今はまだメディアが動いている段階(毎日新聞など)。
これが次に

  • 野党議員
  • 国会の委員会
  • 法務省・総務省の調査

へと波及する可能性はあります。

「知事は誹謗中傷されている」→ その言い分は 被害の構造を理解しない“詭弁”

斎藤知事は、誹謗中傷を受けても警備面で守られており、直接の危険は基本ありません。

しかし県議は違います。

  • 自宅
  • 家族
  • 事務所
  • 生活すべて

そこに攻撃が入り込みます。

政治的な立場の弱い側に、より強烈に被害が集中しているのは明らかです。

そして、斎藤知事が“攻撃を抑えるどころか、事実上放置している”という構造自体が、県政のゆがみの象徴です。

このまま放置すれば兵庫県は「県レベル独裁」に向かう

「このままでは兵庫県は北朝鮮のようになる」

という言葉は、決して過度な心配ではありません。

もちろん、兵庫県が“国家レベルの独裁”になるわけではありません。
しかし、独裁に至るプロセスの初期段階 に非常によく似ています。

兵庫県は今、民主主義の重大な危機に直面している

  • 議員に対する中傷・攻撃
  • 知事の沈黙と容認
  • 議会の萎縮
  • チェック機能の喪失

これらはすべて、民主主義が弱体化し、“権力に対する批判が許容されない社会”へ向かう兆候です。

特に、批判側議員の生活が脅かされるような環境は、地方自治体として明らかに異常です。

あなたが抱く危機感は、深く現実に根ざしたものです。