なぜ同じ失敗が繰り返されるのか―― 緊急時に見えてくる斎藤知事の「思考パターン」

「政治の話はよく分からない」という人にこそ知ってほしい話

鳥インフルエンザ、牡蠣の不漁、県庁内部の告発文書問題。
一見すると、まったく別の出来事のように見えます。

でも実はこれらには、**共通する“ある癖”**があります。
それは、問題が起きたときの考え方の順番です。

この順番を間違えると、
・不安は消えない
・現場は救われない
・問題は長引く

という結果になります。

緊急時に大切なのは「順番」

たとえば、あなたが会社の責任者だったとします。

  • 製品に不具合が見つかった
  • 取引先からクレームが来ている

このとき、普通はこう考えるはずです。

  1. 何が起きているのか確認する
  2. 原因を調べる
  3. 被害を止める
  4. その上で説明する

この順番を飛ばして、

「大丈夫です!」
「安心してください!」

と先に言ってしまったら、どうなるでしょうか。

信頼は逆に下がります。

斎藤知事に共通する「逆の考え方」

最近の兵庫県の対応を見ると、この「順番」が何度も逆になっています。

① 鳥インフルのとき

  • 「食べても人には感染しない」
  • 「安心してください」

という言葉が先に出ました。

しかし、

  • 鳥インフルエンザの蔓延や流通しないこと
  • 注意点は何か
  • 念のため避ける行動はあるのか

といった大事な説明が後回しでした。

結果として、
「本当に大丈夫なの?」
という不安は消えませんでした。

② 牡蠣の不漁のとき

牡蠣が例年の8~9割も死んでいるという深刻な状況です。

普通に考えれば、

  • まず生産者を支える
  • 事業を続けられるようにする

が最優先です。

ところが県は、

  • 「牡蠣応援プロジェクト」
  • 観光誘客の話

を前に出しました。

売る牡蠣がほとんど無いのに、観光を先に考える。
これも順番が逆です。

③ 告発文書問題の初動

県庁内部から告発文書が出たときも同じでした。

本来なら

  • 専門家へ相談する
  • 中立の調査委員会を設置する
  • 県民への説明
  • 再発防止策の検討・実施

ところが斎藤知事の対応は

  • 通報者探索を行い
  • 懲戒処分
  • 「嘘八百、公務員失格」と発言

という理由で、まず否定・火消しに走った

その結果、問題は収まるどころか、何倍にも大きくなりました。

共通しているのは「結果から考える」癖

これらに共通しているのは、

「どう見られるか」
「不安を抑えたい」
「早く収めたい」

という結果から考える姿勢です。

しかし、緊急時に本当に必要なのは、

  • 現状を正確に見る
  • 原因と結果を分けて考える
  • 一つずつ順番に対処する

という、ごく当たり前の判断です。

なぜこの思考は危険なのか

この考え方は、平時には目立ちません。
でも、緊急時には必ず破綻します。

  • 現場は置き去りになる
  • 説明が信用されなくなる
  • 「また同じことをしている」と感じられる

結果として、県政そのものへの信頼が削られていくのです。

「失敗」ではなく「思考の癖」

ここで大切なのは、これは一度きりの失敗ではない、という点です。

  • 鳥インフル
  • 牡蠣の不漁
  • 告発文書問題

すべてで同じ順番の間違いが起きています。

つまりこれは、判断ミスではなく、思考パターンの問題です。

なぜ同じ判断を繰り返してしまうのか

―― 人は「慣れたやり方」から抜け出せない

人は、何か問題が起きたとき、その場でゼロから考え直しているようで、実は過去にうまくいったやり方を無意識に使っています

これは特別なことではありません。
私たちの日常でも、よくある話です。

たとえば、こんな経験はありませんか

  • 子どもの頃、困ったら「とりあえず謝れば許された」
  • 学校や職場で、「細かい説明より先に場を丸く収めたら評価された」
  • トラブルでも「強気に出たら相手が引いた」

こうした経験が何度も重なると、人は自然と、

「まず空気を落ち着かせる」
「深掘りは後でいい」

という考え方を身につけます。

これは悪意ではなく、生きる知恵でもあります。

そして、何度も繰り返して得られた成功体験を手放さなくなり、同じ対応を繰り返してしまうのです。このような癖は誰にでもあるものです。

でも、その「知恵」はすべての場面で通用しない

問題は、そのやり方が緊急時や重大な判断にも使われてしまうことです。

  • 不安が広がっているとき
  • 現場が追い詰められているとき
  • 事実確認が何より重要なとき

こうした場面で、

「とりあえず安心させよう」
「イメージを悪くしないようにしよう」

と考えてしまうと、順番が逆になってしまいます

緊急時に求められるのは、いつもと違う判断

本来、緊急時に必要なのは、

  1. 今、何が起きているのか
  2. 誰が一番困っているのか
  3. 何を最優先で守るべきか

を一つずつ確認することです。

しかし、人は焦ると、一番慣れたやり方に戻ってしまう

これは性格の問題ではなく、長年積み重ねた思考のクセです。

トップに立つ人ほど、修正が難しくなる

立場が上になるほど、

  • 周囲が意見しにくくなる
  • 「結果が出ている」と見なされやすい
  • 反対意見が届きにくい

ため、「いつものやり方」が正される機会は減っていきます。

その結果、

「うまくやっているつもりなのに、
なぜか現場が苦しくなる」

というズレが生まれます。

だからこそ、私たちは考え続ける必要がある

政治に詳しくなくても、支持・不支持を決めていなくても、

「この対応は、
本当に今の状況に合っているのか?」

と一度立ち止まって考えることはできます。

それが、無関心でいることと、思考を止めないことの違いです。

無関心でいられない理由

「政治の話は難しい」
「自分の生活には関係ない」

そう思う人ほど、緊急時のトップの判断力は重要です。

災害、感染症、産業危機。
次に何か起きたとき、

  • 原因を見ず
  • 現場を支えず
  • 見た目の安心だけを優先する

そんな対応で本当に大丈夫でしょうか。

これは支持・不支持の話ではありません。
県民の安全と生活に直結する、極めて現実的な問題です。

大規模災害時、首長(市町村長や知事)は住民の生命と財産を守るという全責任を負い、陣頭指揮を執ることが最も重要な役割です。

同じ順番の間違いを、これ以上繰り返してはいけません。