斎藤知事(兵庫県知事)は何をした?分かりやすく簡単に解説します
目次
- 1 はじめに
- 2 経歴:斎藤元彦氏とは?
- 3 何が問題になっているのか?パワハラ疑惑と対応経緯
- 4 刑事告発
- 5 パワハラの懲戒処分
- 6 職員のパワハラは懲戒処分で自身のパワハラは襟を正せば不問
- 7 都道府県別将来負担比率
- 8 「斎藤氏の指示で学校のトイレきれいに」は誤り
- 9 斎藤知事、国会議員と懇談会廃止の方針に波紋 課題共有減に懸念の声
- 10 説明責任を果たさず噛み合わない記者会見
- 10.1 2025年3月5日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.2 2025年3月27日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.3 2025年4月9日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.4 2025年4月23日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.5 2025年5月8日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.6 2025年5月20日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.7 2025年5月28日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.8 2025年6月11日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.9 2025年6月25日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.10 2025年7月2日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.11 2025年7月9日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.12 2025年7月16日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.13 2025年7月29日兵庫県斎藤知事記者会見
- 10.14 2025年8月6日兵庫県斎藤知事記者会見
- 11 国会での言及
はじめに
2025年夏、兵庫県知事・斎藤氏(以下「知事」)に対する問題が県内外で注目を集めています。県議会では百条委員会や第三者委員会が設置され、告発文書や疑惑の調査が終了。本記事では「斎藤知事は何をしたのか」を簡単に、最新のニュースや報道機関の取材に基づいて解説し、一覧やポイントを交えて整理します。2025年現在の情報に基づく特集です。
経歴:斎藤元彦氏とは?
斎藤元彦氏は1977年11月15日、兵庫県神戸市須磨区に生まれ、東京大学経済学部を卒業後、総務省に入省した元国家公務員(元総務官僚)です。
入省後は、三重県庁出向、新潟県佐渡市企画財政部長、飯舘村政府対策室、宮城県総務部・財政課長、総務省自治税務局課長補佐・理事官、大阪府財務部財政課長などを歴任し、地方行政や被災地対応にも従事しました。
2021年8月に第53代兵庫県知事に就任し、2024年9月に県議会の不信任案により一度失職。その後11月の再選を果たし第54代知事に就任しています。無所属ですが、自民党など一部党派からの推薦も受けています。
何が問題になっているのか?パワハラ疑惑と対応経緯
告発と疑惑の発端
2024年3月、兵庫県前西播磨県民局長・渡瀬康英氏が作成した告発文書が県議会や報道機関、県警に提供され、「パワハラ」「プロ野球の優勝パレードに関わる背任」「県内企業からの贈答の不正」など7項目の疑いが指摘されました。
違法な通報者探索とPCの押収
公益通報者保護法では、通報者を保護しなければいけないが、斎藤知事と側近は、違法な通報者探索を行い。公用PCも押収した。
斎藤知事の定例記者会見
20245年3月27日の知事定例記者会見で斎藤知事は「本人も認めていますが、嘘八百含めて文書を作って流すと言う行為は、やっぱり公務員としては失格です」と述べ、県は懲戒処分を発表し、3ケ月の停職処分としました。
しかし、西播磨県民局長は、「先日の知事記者会見の場で欠席裁判のような形で私の行為をほとんど何の根拠もなく事実無根と公言し、また私の言動を事実とは異なる内容で公にされました」
「ありもしないことを縷々並べた内容を作ったことを本人も認めているという知事の発言がありました」
「私自身がそのことを認めた事実は一切ありません」と述べています。
公用PCにあった私的情報を元に脅し

県民局長を百条委員会の証人として出席させたく無い、斎藤知事の取り巻きは、公用PCにあった私的情報を元に、百条委員会の出頭要求を取り下げるように持ち掛けるも、県民局長は脅しと捉え交渉は決裂します。
その後、百条委員会開催を目前に控えた時期に県民局長は自死します。
県議会の対応と不信任決議
これを受けて県議会は百条委員会を設置し、内部告発および文書を精査。県内外で報道が拡大し、特集記事や動画、写真付きのweb報道やテレビ中継も増加しました。
9月には知事への不信任決議が全会一致で可決され、失職・再選への道を選びました。知事選は当初、対立候補の稲村氏が有利だと見られていましたが、NHK党の立花孝志による2馬力選挙や真偽不明な情報の拡散、によって111万票を獲得して再選されました。
また、立花氏の真偽不明な情報の拡散により、斎藤氏を陥れた黒幕だとして、竹内県議が激しい誹謗中傷を受け、選挙後に自死しています。
公職選挙法違反の疑い
兵庫県知事選挙で再選した斎藤知事の陣営のSNS運用などに関して、知事が兵庫県西宮市のPR会社「merchu」に対し、インターネットによる選挙運動の対価として報酬を支払った公職選挙法違反の疑いがあるとして、弁護士らが去年12月、神戸地検と兵庫県警に告発状を提出しました。
2025年6月20日に兵庫県警は、捜査結果をまとめた書類を検察庁に送りました。
百条委員会の報告
およそ8カ月に及んだ調査の結果がまとまりました。
報告書で注目されたのは、パワハラ疑惑の調査について。斎藤知事が公用車を降りて職員に叱責するなどした疑惑について、概ね事実としたうえで『パワハラ行為といっても過言ではない不適切なものだった』と評価しました。
また公益通報について。元局長が行った告発は『外部公益通報に当たる可能性が高い』と示し、告発者探しを行い、元局長を処分した一連の県の対応について、『公益通報者保護法に違反している可能性が高い』としました。
【百条委員会 奥谷謙一委員長】「元県民局長作成の文書については、事実無根でもないし、うそ八百でもなかったというのが我々の調査結果です。知事ならびに県当局は、文書問題の対応については一切問題がなかったという認識であると思いますが、今一度、その対応を振り返っていただいて、しかるべき対応をとっていただきたい」
文書問題第三者委員会
兵庫県文書問題第三者委員会が2025年3月19日に報告書を提出しました。
第三者委は、告発文書が誹謗(ひぼう)中傷に当たるとした県の内部調査結果を受け、県議会が中立性の高い調査を求め、斎藤氏が設置を決めた。
告発文書で疑惑が指摘された斎藤氏や片山安孝元副知事が調査に関与したことを「極めて不当」と言及。通報者を捜し出した行為は公益通報者保護法に照らして違法と結論づけた。
「文書には数多くの真実と真実相当性のある事項が含まれている」と評価し、斎藤氏が24年3月の定例記者会見で「噓八百」「公務員失格」などと非難したことは元幹部に精神的苦痛を与え「パワハラに該当する行為」だと断定した。
パワハラを巡っては、調査対象の16件中10件の事例が該当すると認定した。
百条委員会は公益通報者保護法”違反の疑い”と表現していたのに対し、第三者委は”違反”と断定。こちらも踏み込んだ判断となりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/61c168f280a510f984c1beb12041d4977d0955c9
公益通報者保護法違反
伊藤消費者担当相が「3号通報(外部通報)も体制整備義務の対象に含まれる」と消費者庁の見解を示したことについて、斎藤知事は、「県も見解は同じか」という記者の質問に対し、明確な回答を避けました。
告発文書が県議会や報道機関、に送付された3号通報に当たり、第三者委員会もこの文書を公益通報であると認めています。
斎藤知事は、消費者庁と県の見解が同じかどうかについて「重く受け止める」と繰り返すも、明確な回答を避けました。
これまで、斎藤知事は「対応は適切だった」との発言を繰り返していて、「3号通報(外部通報)も体制整備義務の対象に含まれる」ことを認めてしまうと自身が行ったことが違法行為となるので、明言を避けているものと思われます。
情報漏洩第三者委員会
県民局長の私的情報を県議らに漏洩した問題の第三者委員会は、令和6年4月4日か5日頃E氏がD氏同席の席上で知事に対し、元県民局長の公用パソコン内に元県民局長の私的情報に係る大量の文書等があることが分かったなどと報告したところ、知事はE氏に対し「よし、そのような文書があることを議員に情報共有しといたら」と指示したと言う旨の供述をされました。
一方知事は、令和7年3月6日に行われた当委員会の聴取に於いて概要を次のように述べて、この事実を否定しておられます。具体的には、昨年4月に入ってから元県民局長のパソコン上に今回の問題となっている文書の作成以外に(省略しますが)などの情報があったと言う一連の報告はあったと思うが、それを聞いて、その処理に関して何らかの指示をしたことは無い。E氏にそう言った情報を議会の執行部に共有しておいた方が良いと言う発言をしたことも無い。ただ、例えばどこの自治体でもあるように予算とか大学無償化とかの政策に関することで議会との情報共有を指示することもあるが、今回はそう言ったことについて議会筋と情報を共有しておくようにと言うような指示をE氏にしたことも無い。E氏は総合調整の窓口である総務部長として独自の判断で議会側との情報共有。いわゆる根回しをしたものと思う。このように供述されています。
そこで、前記のD氏の供述からすれば知事当時の多くの懸案事項と区別せずに議会の執行部との情報の共有を指示したためにE氏が元県民局長の私的情報についても情報共有しておくようにとの指示と受け取った可能性もあると考えられるところ知事は前掲の通り本件についてはその点についても全面的に否定し、E氏が総務部長として自らの判断で議会執行部に元県民局長の私的情報の共有を行ったものであるとの主旨の供述をされています。
多数の懸案事項がある中で知事が総務部長であるE氏対し事項を特定せずに一般的に議会筋との共有を指示することがあってもおかしくは無いと思われるにも関わらず、前掲の通り、本件については一般的なパターンでの情報共有の指示すら否定する知事の供述には不自然さも否めないと考えました。
元副知事は知事から直接の指示を受けたことは無い、しかし、昨年4月上中旬頃恐らくはD氏からだと思うが、知事からE氏に対し元県民局長の私的情報について議会と情報共有しておくようにと指示があったと聞いたので、特に反対もせずE氏に於いて根回しをするように指示した。
以上の通り、D氏及び元副知事の供述が時期及び内容においてE氏のこの点に関する新主張とほぼ一致していると言うことからすれば、これらの供述の信用性を否定することは出来ないと評価するのが相当である。
これと整合しない知事の前記供述は採用することが困難と言うべきであると言う結論に達しました。
つまり、情報漏洩の指示は知事からされたものと結論付けました。
刑事告発
プロ野球の優勝パレードの寄付金に関わる背任容疑
おととし兵庫県が行ったプロ野球の優勝パレードの寄付金を集める目的で、金融機関への補助金を不要に増額したとして、斎藤知事と元副知事が背任の疑いで刑事告発されたことをめぐり、警察が13日、捜査結果をまとめた書類を検察庁に送ったことが、捜査関係者への取材で分かりました。検察は刑事責任の有無について慎重に判断するものとみられます。
公職選挙法違反(買収)容疑
県内のPR会社社長が斎藤陣営の「広報全般を任せていただいていた」などとインターネット上に投稿。選挙期間中に斎藤陣営が使用した四つの公式SNSを「監修者」として「運用した」などと記載され、「兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」とも書かれていた。
斎藤陣営からPR会社に支払われた71万5000円が、社長のSNS運用などへの報酬に当たるとして、元東京地検検事の郷原信郎弁護士らは斎藤知事と社長を公職選挙法違反(買収、被買収)容疑で刑事告発した。
元西播磨県民局長(故人)の私的情報を漏洩(ろうえい)したり、漏洩を指示したりしたのは地方公務員法(守秘義務)違反
兵庫県の内部告発文書問題をめぐり、告発した元西播磨県民局長(故人)の私的情報を漏洩(ろうえい)したり、漏洩を指示したりしたのは地方公務員法(守秘義務)違反の疑いがあるとして、神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授が10日、斎藤元彦知事ら3人に対する告発状を神戸地検に提出した。
パワハラの懲戒処分
<記者>お伺いしたいのが県職員の懲戒処分指針。こちらは読まれたことはありますか?
<知事>えっと、詳細までは読んでるかどうかはちょっとあれですけれど。
<記者>令和6年1月に作られた、この指針の第三基準例16って言うのを読みますと、パワーハラスメントを行った場合、職員に対しては、停職、減給、または戒告となっていまして、職員に対してこのようなルールを強いている中で、自身に対して処分が無い理由、改めて何故なのか教えて頂けますでしょうか。
<知事>はい、あのー、そう言ったご指摘は受け止めたいと思います。まあ、あのー、私自身は先ほど申し上げました通り、昨日も申し上げましたが、やはり今回、第三者委員会としてのハラスメントが認定されたことは真摯に受け止めて行くと、そして謝罪させて頂きたいと昨日申し上げました。その上で自分自身が襟をしっかり正して県政を前に進めて行くと、その場合は当然、えー、再発防止として研修であったりとか、そういったものをしっかりやって行くことで責任を果たして行くのが私の考えです。
<記者>なるほど、例えばなんですけど、令和2年に、あのー、県の職員、男性職員に二名が、部下に対してパワーハラスメントを行っていて、その際には、減給4か月の処分と言うのがあるんですね。具体的な処分が行われている。職員に対して行われている中で、改めてなんですが、知事がパワーハラスメントをした場合は、処分と言うのにならないのか、自ら処分、減給とか言うことをしないのかって言うところを改めて、その理由をお聞かせ下さい。
<知事>あの、ご指摘は真摯に受け止めたいと思います。私については、先ほど申し上げた通り、あのー、自分自身が襟を正して、しっかり業務を遂行して行くと、そして、研修などを受けながら、再発防止をやって行くって言うことが私の責任の果たし方だと言うことですね。
<記者>繰り返しで申し訳ないんですけども、そこが知事と職員で何故違うのか、もちろん知事と職員では立場が違うのかも知れないんですけども、恐らく処分を受けた職員の方々も襟を正すと言う思いはあると思うんですけども、それでも処分は受けている訳ですよね。その中で、じゃー今後懲戒処分の指針を変えたりとかする可能性もあると言うことですか?襟を正せば良いって言う方向にすると言うことなんですかね。
<知事>はい、あのー、ご指摘は受け止めたいと思います。私としては襟を正して、再発防止策を含めてしっかりやって行くと言うことが、私の責任の果たし方だと言う風に考えています。
<記者>すいません、職員も襟を正せば、処分はしなくても良いって言う、そう言うお考えって言うことでしょうか。
<知事>そこは、職員さんについては、先ほど共同通信さんの回答にもお答えしたと思います。
職員のパワハラは懲戒処分で自身のパワハラは襟を正せば不問
職員のパワハラは懲戒処分で、斎藤元彦のパワハラは襟を正せば、処分無し。
トップが処分や規範を自分には適用しない姿勢を示すと、組織内で「上の人間は特別扱い」「結局、力のある人は処分されない」という空気が広がり、真面目に規則を守る職員ほど不公平感を募らせ、やる気を失います。
監査・第三者委員会の指摘が無視される前例ができ、将来の是正勧告も軽視される恐れがあります(現実に起きている)。
知事が明確な理由を示さず処分を回避すれば、「説明しないことが許される」という政治文化が定着します。
公平性や透明性を重視する職員が離職し、有能な人材が集まりにくくなる。
パワハラや不正をしても知事だけは特別扱いを許す県政の被害者は兵庫県民であり、ひいては全国にも及ぶ問題です。
都道府県別将来負担比率

都道府県別の将来負担比率に関する情報は、総務省の地方財政状況調査などから得られます。将来負担比率は、地方公共団体の借金(将来負担額)が、どれくらいの規模の財源で賄えるのかを示す指標で、数値が高いほど財政状況が厳しいとされます。兵庫県は最も負担率が高い
「斎藤氏の指示で学校のトイレきれいに」は誤り
神戸新聞社が、選挙や行政を巡って虚偽かどうか判断に迷う情報を読者から募ると「斎藤元彦知事の指示によって学校のトイレがきれいになったというのは本当か」との質問が寄せられた。昨年11月の知事選前後にも同様の言説がSNS(交流サイト)上で飛び交ったが、県教育委員会は取材に「斎藤知事の就任前から計画的に取り組んでいるもので、就任後に変更を指示されたことも、前倒しした事実もない」と言説を否定した。
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202506/0019067910.shtml
斎藤知事、国会議員と懇談会廃止の方針に波紋 課題共有減に懸念の声
兵庫県の斎藤元彦知事は、県選出の国会議員に国政への要望などを伝えるため、政党別に年3回開いている定期懇談会を取りやめる方針を明らかにした。斎藤氏は「要望のやり方を改め、国会議員には個別に懇談したい」と説明する。県政課題を共有する場でもあり、知事と国会議員との意思疎通の機会が減ることに懸念する声も上がる。
https://mainichi.jp/articles/20250817/k00/00m/010/117000c