高校生の顔が写った写真を、知事個人のSNSアカウントで投稿 許可は斎藤知事が取った?
HYOGO高校生海外武者修行プロジェクトの報告会を開催しました。少子化の時代だからこそ、若者一人ひとりの個の力を高めるべく始めた本事業は2年目を迎えます。途上国の貧困や医療支援、ラグビーレフリーやトリッキングなど、高校生達が二十人二十色の夢や目標を自らの言葉で熱く語る姿に、未来への希望… https://t.co/j6ijxcml1H pic.twitter.com/eXFVnWs2K0
— 兵庫県知事 さいとう元彦 (@motohikosaitoH) October 26, 2025
目次
投稿自体の法的・倫理的リスク
高校生の顔が明確に写った写真を、知事個人のSNSアカウント(=公的アカウントではない)で掲載・拡散する場合、以下のような問題が生じるおそれがあります。
【肖像権・個人情報保護の観点】
- 高校生は未成年者であり、本人だけでなく保護者の同意が原則必要です。
- 学校や県の主催事業で撮影した写真を個人アカウントで使用する場合、
 「行政目的外利用」に該当するおそれがあります。
- 万一、個人のSNSに投稿された画像が転用・拡散された場合、
 被写体の保護責任は県側(=撮影・運営者側)にあります。
公的リソースの私的利用の可能性
この事業は「HYOGO高校生海外武者修行プロジェクト」として県の予算・寄附金で運営されています。
したがって、活動報告や広報を行う際には、本来は以下のような公的チャネルで発信すべきです。
- 県の公式ウェブサイト
- 兵庫県公式SNSアカウント
- 県教育委員会・担当課による広報資料
ところが、個人アカウントで投稿した場合、県庁職員や撮影スタッフが関与していれば「公的業務を私的広報に転用した」と見なされる可能性があります。
これは「公的リソースの私的利用(地方公務員法第35条・職務に専念する義務違反)」に抵触する場合があります。
同意取得の責任主体は「投稿者(=斎藤元彦本人)」
肖像権や個人情報の取り扱いは、**「発信主体が誰か」**で責任の所在が明確に分かれます。
- 県の公式SNS:県が同意取得・管理を行う(職員が手続き)
- 知事の個人アカウント:本人(斎藤氏)が自ら同意を得る義務
つまり、「個人アカウントで投稿する」と決めた時点で、本来は職員が介在すべきではなく、本人責任の範囲になります。
しかし実際には、撮影や選定、同意確認、画像処理、投稿原稿の作成などを県職員や広報スタッフが行っていれば、それは公務とは言えません。
「公的リソースの私的利用」に該当する理由
公務員法上の「公的リソース」とは、単に県庁の機材や経費だけでなく、職員の勤務時間・技能・情報も含まれます。
したがって、もし以下のような行為が確認されれば、
「私的利用」に該当します。
| 行為内容 | 法的・倫理的評価 | 
|---|---|
| 県職員が撮影した | 県の労務を私的広報に使用 | 
| 同意書の回収を職員が担当 | 本来は県公式手続きのみ可。個人のために行えば職務逸脱 | 
| 投稿原稿を県広報課が作成 | 私的業務への従事=服務規律違反 | 
| 投稿画像を県のサーバーで保存・加工 | 公的設備の私的利用 | 
これらは「地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)」「第35条(職務専念義務)」に抵触しうる行為です。
さらに、倫理的にも公私混同・政治的利用と見なされるおそれがあります。
実務的にも「かなりの労力」がかかる
参加者が20名以上の高校生であれば、保護者への同意書配布・回収・管理だけで数日単位の事務作業になります。
これをもし県職員が「知事個人アカウント投稿のために」行っているとすれば、明確に公務外業務への労働投入です。
本来の業務(教育・企画・広報)とは無関係であり、「税金で雇われた職員が、知事個人のPRを支援している」構図になります。
本来あるべき仕組み
適正な手続きであれば次のようになります:
- 写真撮影 → 県の公式カメラマン・職員
- 同意書取得 → 学校経由で県公式広報用として明示
- 公開 → 県の公式サイトやSNS(知事個人ではない)
- 知事個人アカウント → 「県公式投稿をリポストまたは紹介」
つまり、知事個人のアカウントは“県公式広報を補完する立場”に留めるのが原則です。
県職員がそのために動くこと自体が制度上誤りです。
極めて不適切で「公私混同の典型」
高校生や保護者の同意を前提にしたとしても、その同意取得や写真管理を県職員が行い、個人アカウントで発信しているのであれば、**「公的リソースの私的利用」かつ「権限の濫用」**と見なされる余地が非常に高いです。
倫理的にも、未成年者を「政治的自己PRの素材」に利用する構図となり、行政広報の中立性を損なう行為です。
承諾を取っていても不十分なケース
仮に撮影時に「SNS投稿に同意」を取っていたとしても、
同意書に明記されていない限り、「個人の政治家アカウント」への投稿は想定外利用と判断されます。
行政目的(=県事業PR)で撮影した画像を政治家個人の広報に使用するのは、公私混同とみなされやすく、地方自治体では通常「広報課または教育委員会名義」で発信します。
適切な対応・運用方法
公的事業に関する写真は、県公式アカウントで発信。
知事個人のアカウントでは、県公式投稿を引用またはシェアする形に留める。
撮影時の同意書には「利用媒体(県HP、SNS名)」を明記。
個人アカウントでの使用を希望する場合は、別途明示的な同意を得る。
結論
このような高校生の写真を「斎藤元彦個人アカウント」で投稿・拡散するのは、
行政的には公私混同の疑いが強く、倫理的にも不適切と評価されます。
県の広報目的であれば、兵庫県公式SNSから発信すべきです。
個人アカウントで発信する場合は、保護者同意・公的目的明記・広報課承認が必須です。






