「関係のないことは聞かないで」――学生の口から明らかになった講義統制 斎藤知事“関学講義招致問題”は、大学の教育現場を政治利用したのか?

2025年11月27日に予定されている、関西学院大学法学部の授業「地域政策論1」での 斎藤元彦兵庫県知事による講演 をめぐり、大学関係者、学生、そして県政ウォッチャーの間で議論が加速しています。

Yahooニュースでも報じられ、学生の証言から、講義のあり方に重大な疑問が浮上しました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0cdb945c375c80ffb2759ae26ff43fcc070069dc?page=1

学生の証言が示した異様な状況

Yahooニュース(11/26)に掲載された学生のコメント:

「あくまで地域政策の授業なので、関係のないことは聞かないで欲しいと言われた」
(Q:誰が説明した?)「担当教授です」

これは、講義が

  • 自由な質疑応答が前提の大学教育
  • 学問の自由
  • 学生の主体的探究

を制限している可能性を示しています。

学生からは次のような声も:

「僕はポジティブな印象を持っています。生活が豊かになる話ならメリットがある」

しかし、学生が「知りたい情報」ではなく、「聞いて良い内容」が制限されているとすれば、教育現場として本来の姿とは言えません。

問題の核心:教授が「都合の悪い質問をするな」と指示した

この「質問制限」を伝えたのは、講義招致を行った 総務省出向の担当教授

  • 出向元=総務省(選挙制度の主管省)
  • 斎藤知事=総務省キャリアの先輩
  • 担当教授=兵庫県明るい選挙推進協議会委員

という関係から見ると、

政治的利害関係者が、学生の発言と自由な議論を制限した構造

となります。

これは、

❌ 大学教育における本来の「学問の自由」

❌ 行政職員としての「政治的中立義務」

❌ 明るい選挙推進協議会委員としての「公平性」

のいずれから見ても深刻な問題です。

大学教授は「権力者」である

大学教授は、学生に対して以下の強い権限を持っています:

教授の権限影響
成績評価・単位付与学生の未来に直結
授業運営権討論内容の枠組みを決める
発言許可・拒否思考の自由を左右
教室支配力上下関係が強い

つまり、学生側は教授の意向に逆らうことが極めて難しい立場にあります。

この権力を背景に 「都合の悪い質問をするな」と言った場合、それは

▶ 権力の濫用=心理的強制

と評価され得ます。

大学の根幹「学問の自由」に反する行為

大学教育の基本原則:

  • 自由な議論
  • 批判的思考の育成
  • 多角的視点の獲得
  • 権力への疑問の許容

問うべき内容を制限することは、これに真っ向から反します。

特に 公共政策や行政学、地域政策論で“関係ない質問”を禁止するのはあり得ない ことで、行政・政治・法制度の議論では

▶ 批判・異論・反対意見こそ学習の核心

です。

これを排除する授業は、教育ではなく「思想誘導」です。

学生に対する心理的圧力が極めて強い

学生の立場からすると、

  • 単位を落とされる可能性
  • 教授の評価に影響
  • 内申的な不利益
  • 教室内での孤立

などのリスクを想定せざるを得ません。

したがって、教授が「関係ないことは聞くな」と伝えた瞬間:

学生は自由な討論が保証されていないと理解する

これは 教育というより抑圧 です。

大学教育の倫理規範に照らしてもアウト

多くの大学では規程に

「教授は教育内容に関して学生の思想や意見表明を抑圧してはならない」

と定められています。

質問を恣意的に制限している場合:

❌ 倫理違反

❌ 教育法規違反

❌ ハラスメントとも評価され得る

特に今回のケースは

▶ 政治的テーマ × 行政官 × 現職知事 × 学生質問制限

であり、最も慎重であるべき状況でした。

今回の構図は非常に危険

今回の講義において、

要素内容
教授総務省出向の現役官僚
招待者総務省先輩である現職知事
内容政策講演(政治的効果を持つ)
指示学生へ質問制限
目的性パフォーマンス疑惑

この組み合わせは、教育現場を利用した、政治的効果の演出装置 と評価される危険があります。

教授は学生に強制力を持つため、

権力を利用した情報操作に極めて近い

斎藤知事の政治姿勢との整合性

今回の学生証言は、これまで見せてきた斎藤知事の姿勢とも一致しています。

  • 反対意見や批判者には向き合わない
  • 支持者とは積極的に接触し、メディアでも演出を行う
  • 不都合な質問は排除し、形式的な“説明責任”のみ果たしたように見せる

SNS上でも広がった県民の批判:

「反対する有権者の声は聞かないのに、支持者とは握手する。これは県民のための県政ではなく、自分のための県政だ」

学生が「都合の悪い質問をするな」と言われた事実は、この批判を象徴する象徴的なエピソードと言えます。

大学は政治パフォーマンスに利用されたのか?

講義招致発端の整理:

主体内容
法学部長「法学部としては招待していない」「教授個人の判断」
担当教授総務省出向者、明推協委員、知事の後輩
知事「関西学院大学の意向で依頼があった」と説明
大学デモ懸念、リモート提案 → 教授が拒否
学生「関係のないことは聞くなと言われた」

結論として、この構図は

大学の教育現場が、官僚ネットワークと政治パフォーマンスのために利用されたと言われても仕方がない

と言える状況です。

この問題は何を示しているのか?

問題の本質

  • 大学が正式に招いたわけではない
  • 官僚ネットワークがガバナンスを上書き
  • 学生の質問制限=学問の自由侵害
  • 選挙中立を担う立場の者が現職知事を呼ぶ異常性
  • 講義が「政治宣伝の場」になりかねない危険

全国的な論点

  • 大学の政治利用
  • 公務員の政治的中立
  • 若者教育の中立性保護
  • 行政権力の透明性

おわりに

今回の講義は、単なる大学のゲスト講義ではありません。

若者の言論空間が制限され、大学という学術機関の中立性が揺らぎ、選挙と政治的中立に関する制度的問題が露わになった事例です。

今後、大学、総務省、斎藤知事が、それぞれどのような責任と説明を果たすのか、市民として注視していく必要があります。