斎藤元彦知事に相次ぐ「資質」の疑義——国会議員、議長、記者… 兵庫県政への信頼はどこまで揺らいでいるのか

目次

渡海紀三郎衆院議員が明確に述べた「斎藤県政の問題点」

2024年11月12日、東播磨選出の渡海紀三郎衆議院議員が、総裁選・衆院選が終わった直後に、あえて兵庫県政に踏み込んだ異例の声明を発表しました。

その内容は、斎藤元彦知事の「資質」に対する厳しい評価を多く含んでいました。

(1)“県政混乱の発端は3年前の知事選”

渡海氏は、自民党国会議員が中心となって斎藤氏を推薦したことが

「長期にわたる県政混乱の発端」
と述べています。

これは、現職国会議員が“自らの判断が誤りだった”と認めたに等しい極めて重い発言です。

(2)“県政と国政の関係は健全と言えない”

渡海氏は、県政と国政の連携が極端に悪化していると指摘。

  • 県立大学無償化を国に無断で発表
  • 県立高校の統合方針も事前説明なし
  • 国会議員への県予算説明会でも知事発言ほぼゼロ
  • 個別要望に知事本人が訪れない

など、

「意思疎通が図れず協力のしようがない」
とまで断言。

行政トップとしての基本的なコミュニケーション能力が欠如していると示唆しています。

山口晋平県議会議長の異例の「苦言」

9月定例会閉会あいさつで、山口議長(自民)は次のように述べました。

「一部、議論が深まらなかったことは否定できない」
「今の答弁のままでは健全ではない」

議長が閉会あいさつで知事に苦言を呈するのは異例中の異例です。

議長は取材でさらに踏み込み、

「沈黙は承諾の証になると思い、あえて言った」
と語りました。

つまり、斎藤知事の答弁姿勢は「ずっと問題があった」ということです。

https://www.asahi.com/articles/ASTBQ3CJ7TBQPIHB001M.html

11月19日の定例会見:他府県知事との比較で露呈した“働き方の違和感”

フリーの菅野完氏が、鳥取・京都両知事と比べて斎藤知事のみ「東京出張が午前で終了し午後の公務を入れていない」と指摘。

他府県知事は

  • 補正予算要望
  • 大臣・政務三役との面会
  • 省庁レク
  • 地元企業・大学等への陳情

などを同日に入れて効率的に活動。

これに対し、斎藤知事は「大会出席後そのまま神戸へ帰宅」しており、帰宅後には私的な“自炊のツイート”を投稿していました。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/governor/g_kaiken20251119.html

記者が言外に示した問題意識

「他知事は国とのパイプを太くしようと動いているのに、兵庫だけ午後ゼロ」

県政と国政の連携を重視する立場からすれば、致命的な“やる気の差”とも受け取られます。

三者が共通して指摘した「斎藤知事の弱点」

国会議員
県議会議長
記者

立場の異なる三者が、同じポイントを指摘しています。

共通している指摘

  1. コミュニケーション能力の欠如
  2. 説明責任の回避
  3. 意思疎通や調整を行わない姿勢
  4. 行政トップとして必要なガバナンスの不全

これらはすべて、「知事の資質」をめぐる核心部分です。

特に渡海議員の

「協力のしようがない」
という発言は、県民サービスの質にも直結する重大な問題です。

国会議員との「定期懇談会」を廃止——意思疎通の場を自ら断ち、ガバナンス不全がさらに深刻化

2025年8月17日の毎日新聞は、兵庫県政にとって重大な意味を持つ報道を伝えました。

https://mainichi.jp/articles/20250817/k00/00m/010/117000c

年3回の「定期懇談会」を突然廃止

兵庫県の斎藤元彦知事は、これまで

政党別に年3回、県選出国会議員と意見交換する定期懇談会

を開いてきました。

これは

  • 国への予算要望
  • 法改正への要望
  • 地域インフラ・交通政策
  • 教育や医療への支援策
    など、県政と国政をつなぐ極めて重要な場です。

しかし斎藤知事は、この定期懇談会を

「取りやめる」
と突然表明しました。

理由は

「要望のやり方を改め、国会議員とは個別懇談にしたい」
と説明するのみ。

廃止は一部議員しか知らされず、東京事務所には抗議が殺到

報道によると、廃止の事前連絡を受けていた国会議員は「一部だけ」。

そのため、知事会見後に

  • 問い合わせが殺到
  • 懇談会の継続を求める声が相次ぐ

という異例の事態が発生しました。

東京事務所にまで複数の要望が寄せられるのは、県政運営上の重大な赤信号です。

なぜ懇談会の廃止が問題なのか?

斎藤知事は「個別に懇談する」と言いますが、実態としては以下のような懸念が指摘されています。

(1)“個別対応”は、知事の都合で会う・会わないを選べる

集団での懇談会は、

  • 全議員に平等
  • 議事が記録に残る
  • 意見交換が透明

というメリットがあります。

しかし“個別懇談”だと

  • 会う相手を選べる
  • 内容が不透明
  • 県政の方向性が共有されにくい
    という不信感が生まれます。

これは行政トップとして極めて問題が大きい。

(2)国会議員側は「県政課題を共有する場が失われる」と危機感

県政は国政抜きでは動きません。

インフラ、学校、福祉、災害対策など、ほぼすべてが、国→県→市町 の連携で進むためです。

懇談会は、県政最大の連携基盤でした。

その基盤を“知事が自ら切る”ことに、国会議員側は深く懸念しています。

(3)すでに意思疎通が悪化していたところに「追い打ち」

先日の渡海紀三郎議員の声明でも、

「斎藤県政と国政は意思疎通が図れない」
「協力のしようがない」
と明確に批判されていました。

また、

  • 県立大学無償化の事前説明なし
  • 県立高校統合方針も事前説明なし
  • 県予算説明会で知事はほとんど説明せず
  • 国への個別要望にもほぼ行かない

という状況が3年間続いてきたのです。

この状況で「懇談会廃止」は、わずかに残っていた連絡手段すら断つ行為です。

行政トップとしての「資質」を大きく問われる判断

今回の措置は、次のような深刻な問題に直結します。

① 県政の透明性が損なわれる

誰と会って何を話したのかが不明瞭になり、ガバナンス不全が進行します。

② 国とのパイプを自ら細める愚行

補助金、災害、インフラ、子育て支援など、県民生活のほぼ全分野に悪影響が出ます。

③ 国会議員の信頼が完全に失われる

東京事務所に問い合わせ・抗議が入るのは異常であり、県政と国政の信頼関係が破壊寸前です。

④ 「説明しない知事」という評価が定着する

渡海議員
山口議長
フリーの菅野完氏
各方面から指摘されてきた
“説明責任の欠如”
が、今回さらに明確になりました。

これらの動きを踏まえると、「知事の資質」の問題は決定的段階へ

今回の懇談会廃止は、単なる“形式の変更”ではありません。

これは、

知事として最も重要な「対話」「調整」「説明」を完全に放棄したに等しい

という重大な問題です。

国会議員、県議会、県幹部職員、記者——
あらゆる方面から同じ指摘が出続けており、
これは個別の不満ではなく、県政の構造的欠陥 です。

「知事の資質」——総合的に見えてくる構造的問題

以上を総合すると、斎藤知事に対する疑義は単なる“好き嫌い”ではなく、行政の根幹にかかわる深刻な問題として浮かび上がります。

(1)トップに求められる資質の欠如

行政は「対話・調整・説明」が生命線です。
しかし、斎藤知事にはこれらがどれも不足していると複数筋から指摘されています。

(2)孤立構造が県政全体を機能不全に

  • 国会議員と連携できない
  • 県議会と議論が深まらない
  • 県職員との信頼関係も希薄

この状態が続けば、政策実現力が大きく低下します。

(3)ガバナンスの欠如は県民生活に直結

補助金、公共事業、教育政策、福祉施策…
すべてが「国・県・市町の連携」で成り立っています。
知事がこの連携を壊してしまえば、県民にとって確実に不利益が生じます。

現在の兵庫県政は「知事の資質」そのものが最大のリスクになっている

渡海議員、山口議長、菅野氏の指摘はいずれも行政の根幹に関するものです。

  • 国と連携できない
  • 県議会と議論がつながらない
  • 県庁内部とも十分に意思疎通がない

これは、兵庫県の将来にとって致命的なリスクです。

次回の知事選は、単なる“人物選び”ではなく、「県政のガバナンスを立て直せるかどうか」を問う選挙に他なりません。

“知事の資質への疑問”は、実は県政・国政・メディア、それぞれの現場でも共有されている現実なのです。