斎藤元彦兵庫県知事、公益通報者保護法を否定 ― 消費者庁に公然と反旗
斎藤知事は、10月1日の兵庫県知事定例記者会見で、「公益通報者保護法に照らしても適法適切」 と断言しました。この発言は、消費者庁の見解を明確に否定するもので、この問題が新たなフェーズに入ったと言っても良い出来事です。
目次
消費者庁は「外部通報も保護対象」と明示
5月9日、伊東大臣は会見で、兵庫県の内部告発文書問題に関し「公益通報者には外部通報も含まれる」との解釈を4月8日に兵庫県へ伝達していたと明らかにした。
これは、斎藤元彦知事が昨年3月に「内部通報に限定されるという考え方もある」と述べた発言を否定するものだ。消費者庁は一貫して、外部通報も保護の対象であるとの立場を取っている。
伊東大臣「地方自治体は自ら法令遵守すべき」
伊東大臣は、消費者庁としての立場を説明したうえで「国や地方公共団体は自ら法令遵守を図ることが期待されている」と述べた。
ただし兵庫県の個別事案については「コメントしない」とし、あくまで一般的な解釈の伝達にとどめた。
公益通報者保護法第20条は、国及び地方公共団体に適用しない。
公益通報者保護法第20条は「行政は日常的に法を解釈・運用する責任がある」がゆえに指導及び勧告やその公表から「除外される」条文です。
立法府も想定外の行政の長が出現したことで、法改正審議において第20条削除の修正案まで出されています。
残された論点「行政措置の対象から行政機関を除外する規定(法20条)の撤廃」
斎藤知事「公益通報者保護法に照らしても適法」
こうした消費者庁の公式見解に対し、斎藤知事は10月1日の定例記者会見で衝撃的な発言を行った。
「適法であり適切だった」
「公益通報者保護法の観点から見ても適法である」
と断言したのである。記者から「どの法律に基づくのか」と問われた際にも、公益通報者保護法を名指しで挙げ、外部通報者を処分した行為が適法だと主張した。
消費者庁の解釈を全面否定 ― 露わになった“斎藤王国の無法”
消費者庁は「外部通報も保護対象」と明言している。にもかかわらず、斎藤知事は「外部通報者を処分しても公益通報者保護法に適法」と言い切った。
これは、国の公式解釈を正面から否定し、独自解釈を押し通したに等しい。兵庫県は公益通報制度を骨抜きにし、外部通報を行った職員を保護どころか懲戒処分するという異常な組織運営を自ら認めたことになる。
放置すれば「公益通報制度崩壊」
公益通報者保護法は、勇気ある告発者を守るために制定された法律だ。だが兵庫県においては、その趣旨が真逆にねじ曲げられている。外部通報をすれば「守られる」のではなく「処分される」。知事自らがそれを「適法」と断言したことで、公益通報制度そのものが無意味化する恐れがある。
兵庫県が告発者を守らない現状 ― 県民に迫る深刻な被害
不正が闇に葬られる危険性
公益通報者が守られなければ、県庁内部の不正は外に出てこない。職員が不正を知っても、通報すれば処分されるリスクがある以上、沈黙せざるを得なくなる。結果として、県民の税金が不透明に使われても是正されず、行政の腐敗が進む恐れがある。
住民サービスの低下
不正や不適切な事務処理が是正されなければ、福祉・教育・医療・防災といった県民生活に直結する分野にしわ寄せが及ぶ。内部告発による改善が封じられることで、行政の質は確実に低下し、最終的に被害を受けるのは県民一人ひとりである。
県民の声が無視される構造
公益通報制度は「弱い立場の職員でも声を上げられる」ことを前提にしている。しかし兵庫県では、通報すれば処分されるため、内部の異常が外部に伝わらない。つまり、県民が知るべき情報が遮断され、県政をチェックする手段が奪われる。県民の知る権利が侵害されることになる。
不祥事の連鎖と県民の信頼喪失
内部告発が抑え込まれる環境では、不正が常態化しやすい。県庁内の隠蔽体質は強まり、次々と不祥事が連鎖するリスクが高まる。行政に対する県民の信頼は失墜し、県民と行政の距離はますます広がっていく。
実際に、県職員の中にも斎藤知事に屈服してのではないかと思われるような言動も見受けられるようになって来ているのが、かなり危険な状況になっていると思われる。
県民が「泣き寝入り」を強いられる社会へ
行政の不正に異を唱える術が断たれれば、被害を受けた県民は泣き寝入りせざるを得ない。補助金の不正流用や公共工事の不透明さ、生活支援の不公平などがあっても、是正を求める内部の声は潰される。結果として、被害は県民に降りかかり続けることになる。
国は本当に黙認するのか
伊東大臣は「地方自治体は自ら法令遵守すべき」と述べるにとどめた。しかし、知事が公然と消費者庁の解釈を否定し、独自解釈で法をねじ曲げる状況を、国が放置してよいはずがない。
このままでは兵庫県において、公益通報は封じ込められ、不正は闇に葬られるだろう。
問われているのは「自治体の自律」ではなく「法治国家の根幹」
兵庫県が「公益通報者保護法を独自解釈して告発者を処分してもよい」という姿勢を貫くのか、それとも国が毅然とした態度を示すのか。
問われているのは、地方自治体の自律ではなく、法治国家としての信頼の根幹である。