斎藤知事の公職選挙法違反容疑

2025年9月9日

2024年11月の兵庫県知事選において、111万票を獲得して再選した、斎藤知事の陣営が、PR会社「メルチュ」に対してSNS運用などの選挙広報業務の報酬として約71万5千円を支払ったとの疑いが持たれています。

2024年の知事選は、立花孝志の二馬力選挙で様々なデマがばら撒かれ、それを信じて投票した人も多数いることなどから、選挙の正統性も問われています。

問題の始まり

「2024年11月17日、兵庫県知事選挙にて、斎藤元彦さんの当選が決まりました。心よりお祝い申し上げます。前代未聞の歴史的な選挙が無事に終わった今、「SNS」という言葉が一人歩きしてしまっているので、今回広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います。」

と2024年11月20日に、株式会社merchuの代表取締役 折田楓氏がnoteに投稿したことから斎藤知事の公職選挙法違反の疑いが浮上しました。

折田楓氏のnote 2024年11月20日 11:30:58の魚拓

総務省のホームページでは「一般論として、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、業者への報酬の支払いは買収となるおそれが高いと考えられる」と記載されています。

斎藤知事の代理人 会社代表の投稿は“事実と違う部分ある”(2024年11月25日)

弁護士は「PR会社にSNS戦略を依頼したことや 広報全般を任せたということはなく、事実ではない部分が記載されている。特に『広報全般を任せてもらった』という部分は、全く事実ではないと考えている。『盛っている』というように認識している」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20241127/2020027138.html(出典:NHK)

斎藤元彦知事とPR会社代表に告発状 「選挙運動で報酬」(2024年12月2日)

斎藤氏は知事選でPR会社の代表にSNSなどを通じた「戦略的広報業務」を依頼。「選挙運動をすることの報酬」として71万5千円を支払ったことが、公選法が禁じる買収・被買収に当たるとし、郷原弁護士は会見で「選挙運動の対価ではないという弁解は通らない」と指摘した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF012R70R01C24A2000000(出典:日本経済新聞)

兵庫知事選巡り家宅捜索 PR会社関係先、スマホ押収―立件可否、慎重捜査・県警など(2025年2月7日)

捜査関係者によると、兵庫県警と神戸地検は昨年12月に告発状を受理。任意での事情聴取や資料提出を求めるなどして捜査を進めていたが、PR会社側が十分に応じなかったため、家宅捜索に踏み切った。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025020700654&g=soc#goog_rewarded(出典:JIJI.COM)

兵庫県 斎藤知事とPR会社代表の捜査結果書類を検察に送付(2025年6月20日)

兵庫県知事選挙でのSNS運用などに関して、再選した斎藤知事と兵庫県内のPR会社の代表が公職選挙法違反の疑いがあるとして告発されたことをめぐり、警察が20日、捜査結果をまとめた書類を検察庁に送ったことが捜査関係者への取材で分かりました。検察は刑事責任の有無について慎重に判断するものとみられます。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250620/k10014840051000.html(出典:NHK)

兵庫県の斎藤元彦知事、公選法違反容疑で任意聴取…神戸地検は刑事責任問うか慎重に判断へ(2025年8月8日)

昨年11月の兵庫県知事選で選挙運動の対価を同県西宮市のPR会社「メルチュ」に支払ったとして告発され、公職選挙法違反(買収)容疑で書類送検された斎藤元彦知事を、神戸地検が任意で事情聴取していたことが複数の関係者への取材でわかった。斎藤氏は、違法性を否定したという。地検は刑事責任を問うかどうか慎重に判断する。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20250807-OYT1T50288(出典:読売新聞オンライン)

斎藤知事「公職選挙法違反」が“セーフ”でも、今度は「政治資金規正法違反」で“詰み”? 神戸地検から聴取…罪に問われる可能性は【選挙法務のプロが解説】(2025年8月30日)

三葛弁護士:「noteには『私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、(中略)などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました』『そのような仕事を東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けた』と記載されています。 これらの表現は、A社という組織体が主体的に業務を行ったことを、率先してPRしていると評さざるを得ません。 しかも、SNS上で拡散された、一般の人が選挙の様子を撮影した画像の中には、B氏が選挙カーに乗り、斎藤氏の間近でSNSに掲載するための写真を撮影している様子が映っています。 これらの事情から、A社が斎藤氏の委託を受け、選挙に関する業務を主体的・裁量的に行ったことが、強く推認されると考えます」

また、「『有休を取得して参加せよ』などの業務命令が出されているような場合には、労働関係法規の違反の問題が生じます。 また、形式上は『お願い』にとどめても、事実上、従業員が断ることは極めて困難なので、実質的な業務命令と判断されることになるでしょう」 つまり、報酬を支払ったと認定された場合は「買収」、それに該当せず「ボランティア」の場合は「寄附」となり、いずれにしても処罰対象となり得ることになる。

https://news.yahoo.co.jp/articles/343e01c49f036f855953ba1b2fed212ad7ed6838?page=1(出典:弁護士JPニュース)

まとめと見通し

斎藤知事側がPR会社に報酬を支払った行為は、公職選挙法上「買収」に該当する可能性が強く、200万円以下の罰金または3年以下の禁錮が科される可能性があります。

一方で、PR会社が「主体的に」業務を行っていたか、その内容が「ボランティア」の場合は買収ではなく「寄附」とみなされるかなど、裁量が争点です。

今後の焦点は検察の起訴判断および法廷での争点整理になります。