副知事が“1人体制”の兵庫県政は限界寸前か― 服部副知事の退任で「県政停止」リスクは現実味を帯びる ―

兵庫県では現在、副知事が服部副知事の“1人体制”という異常な状況が続いています。
片山副知事の退任後、後任は一向に決まらず、斎藤元彦知事は「然るべきタイミングで」「熟慮している」と繰り返すだけ。しかし、県政の規模と現状を踏まえると、これは単なる“先延ばし”ではなく、“決められない事情”が存在しているのではないかとの見方が強まっています。
この記事では、副知事空白が県政にもたらす影響、服部副知事の真の負担、そして後任が見つからない理由について、制度・事実・組織論の観点から解説します。

副知事が1人しかいないのは、全国的に見ても異常事態

兵庫県は政令市を抱え、人口規模は全国7位、予算規模は2兆円超。
本来であれば副知事は 2~3人が標準 とされる大規模自治体です。

そんな中で、現在の兵庫県は 副知事1人だけ という状態。
これは組織運営上、明らかに限界を超えている体制だと言えます。

副知事の役割は極めて重要

副知事とは単なる「補佐役」ではありません。

  • 知事の政策を県庁組織に落とし込む
  • 部局間の調整役
  • 危機管理の司令塔
  • 議会・市町村・国との交渉
  • イベント代理出席

これらを 1人で担うのは不可能 に近いのです。

服部副知事「1人で県政を支える」異常な負担

片山副知事退任後、服部副知事は事実上“県政の最後の砦”となっています。

議会からも、県庁内からも、

「県政がなんとか回っているのは服部さんのおかげ」
と評価されています。

しかしその裏では、

  • 知事の不十分な説明の穴埋め
  • 各部局の混乱の調整
  • 議会との関係悪化への対応
  • メディア対応の増加
    など、斎藤知事の問題行動の後始末を一手に引き受ける状況が続いています。

これでは疲弊しない方がおかしいでしょう。

もし服部副知事が3月で退任したら…

ここが最も重要なポイントです。

服部副知事の任期は 2025年3月末 とされています。
もしこのまま後任が決まらず退任すれば、兵庫県は

副知事ゼロの「無政府状態」に陥る

と言っても過言ではありません。

副知事ゼロの何が問題か

制度上、副知事がゼロでも知事は在任できます。
しかし、現実の行政運営はそうはいきません。

  • 知事と現場をつなぐ人がいなくなる
  • 調整機能が消滅し、政策が実行できない
  • 危機管理の統括役が不在になる
  • 県議会との交渉が完全に断絶する
  • 県庁職員のモチベーションがさらに低下する

つまり、県政が“停止状態”になるリスクが極めて高まります。

なぜ後任が決まらないのか?「熟慮」の裏にある現実

知事は「然るべきタイミングで」と繰り返しますが、実態は “決められない”のではなく、“決まらない” と見るべきでしょう。

その理由は明確です。

今の兵庫県政は「副知事が来たがらない環境」になっている

副知事はキャリアにとって「名誉職」です。
しかし現在の兵庫県政は、

  • 公益通報者保護法違反
  • 地方公務員法違反(情報漏洩教唆)の疑い
  • 第三者委員会・百条委員会での厳しい指摘
  • 県議会との信頼関係崩壊
  • メディア対応の混乱
  • 職員の離反

という、全国でも類を見ないほど混迷した状態にあります。

このような状況で副知事を引き受ければ、責任だけ重く、メリットが無い のです。

まともな官僚ほどこの状況を避けるのは当然です。

服部副知事自身も“距離を置き始めている”可能性

服部副知事は能力の高い行政マンであり、評価も高い。
しかし近年は、

  • 知事の答弁の穴埋め
  • 職員と知事の板挟み
  • 県議会との調整の困難化

と、過重な負担を背負わされている状況です。

このままでは「続けたい」と思える環境ではありません。

斎藤知事と信頼関係を築ける人材が見つからない

副知事とは、知事の“右腕”です。
しかし知事自身が

  • 説明責任を果たさない
  • 会見で話が噛み合わない
  • 明確な方針を示さない
  • 県議会やメディアとの対立を深めている

となると、新たな副知事は「知事の失策をすべて背負う役」 になってしまいます。

誰が引き受けたがるでしょうか。

県政の最大リスクは「知事の暴走を止める人がいなくなる」こと

副知事がゼロになると、組織として最も危険なのは

知事を制御できる人間が誰もいなくなる

という点です。

現在、服部副知事が事実上“知事の暴走を止める最後の防波堤”になっています。

その役割が消えれば、

  • 説明責任の欠如がさらに加速
  • 不祥事や混乱のリスク増大
  • 県政の透明性低下
  • 職員・議会・県民の不信拡大

という、深刻な悪循環に陥る可能性があります。

副知事不在問題は「兵庫県政の根本的危機」

斎藤知事が言う「熟慮している」という説明だけでは、この深刻な状況は説明できません。

本質的には

❌ 後任を選べないのではなく
⭕ 後任が“誰も受けない”状況に陥っている

と見るのが合理的です。

そして、服部副知事が退任すれば、兵庫県政は実務面で制御不能になるリスクすらあります。

県民にとって「副知事人事」は地味なようで、実は 県政の安定性を左右する重大問題 なのです。