関西テレビ・鈴木記者が突きつけた「答えられない知事」——11.11定例会見が露呈した兵庫県政の統治不能
目次
はじめに:この日の会見は“決壊点”だった
2025年11月11日の兵庫県知事定例記者会見は、これまでの県政の問題点がすべて集約された、異常性の極致と言える内容でした。
その中心にあったのが、関西テレビ・鈴木記者による一連の質問。
鈴木記者は 「立花孝志の虚偽情報によって広がった斎藤知事の支持」という極めて重要なテーマを、公平かつ論理的に問い質しました。
しかし——
知事は、そのどれにも答えなかった。
この「答えられない」姿勢こそが、今の兵庫県政が抱える最大の問題であり、県政の信頼が崩壊している根源です。
本稿では、今、兵庫県で何が起きているのかを詳しく解説します。
鈴木記者の質問は「虚偽情報の受益者であるか」を問うものだった
鈴木記者の最初の質問はこうです。
立花容疑者の虚偽主張によって支持を得た側面がある。
知事はその受益者だったのではないか?
これは、政治倫理として避けて通れない問いです。
なぜなら、2024年兵庫県知事選で立花氏が拡散した数々の虚偽情報は、明確に斎藤知事に有利に働き、「既得権益と戦うヒーロー」という“虚構の人物像”を作り出したからです。
しかし知事は——
「自分は政策を訴えただけ」
「111万票のご付託を頂いた」
というテンプレ回答のみ。
肝心の 「虚偽情報の受益者だったか?」 には一切触れませんでした。
これは政治的に極めて重大な問題です。
質問のすり替えが発生している
鈴木記者は、「立花氏本人の話」ではなく“虚偽情報による支持”について聞いています。
しかし知事は一貫して「選挙運動の自分の努力」だけを語る。
これは、質問を意図的にすり替える典型的なゼロ回答パターンです。
しかも鈴木記者が、
「質問自体が違うんです」
と指摘しても、知事は同じテンプレ回答を繰り返すばかりでした。
この時点で、知事は質問の意味を理解していないか、理解していても答えたくないかのどちらかであることがはっきりしました。
どちらにしても、行政トップとして不適切です。
「切り取りを恐れている」——県議会議員の証言
鈴木記者は、知事を支持する県議から直接聞いた話を紹介しました。
「知事は切り取られることを恐れている。
だからテンプレ回答で防御しているのだと思う」
これは極めて本質的な指摘です。
なぜなら、知事の回答は“恐怖によって萎縮し、完全防御モードに入った人間の言い回し”そのものだからです。
「何を言っても攻撃される」という被害者意識が強すぎるため、一切核心に触れず、テンプレで逃げる精神状態になっている。
そして知事は、この質問にも YES/NO を答えず、
「理解しかねる」
と逃げるばかり。
これこそ、県議の指摘が図星であると示した瞬間でした。
「能力のキャパシティが狭いのでは?」という指摘
鈴木記者はついに踏み込みました。
「答えられる範囲が狭すぎませんか?能力の問題では?」
これは事実上の「行政トップとしての適性」を問う質問です。
知事の回答は、
「自分は全能ではない」
という曖昧な答えだけ。
これは、能力不足の指摘を事実上肯定したのと同じです。
最終質問「報道は偏向しているか?」にも答えず終了
会見のクライマックス。
鈴木記者はこう問いました。
我々の報道は偏向報道だと思いますか?YESかNOで。
知事はこれにも答えず、
「それぞれの立場で…」
と意味のない言葉を繰り返すのみ。
鈴木記者は最後に、
「やっぱりお答えになっていないんですが、終わります」
と言って会見を終えました。
百条委員会で明らかになった「瞬間湯沸かし器」性
百条委員会に提出された職員アンケートには、斎藤知事について
- 「怒り出すと止まらない」
- 「感情が先に出る」
- 「瞬間湯沸かし器」
- 「理性より感情で判断することが多い」
などの記述が並んでいました。
これは、心理学でいうところの“衝動性の強いリーダー”の典型例です。
このタイプには以下の特徴があります。
✔ 感情に任せて判断する
✔ その場の思いつきで指示を出す
✔ 後から「まずかった」と気づく
✔ しかし訂正する勇気がない(面子が邪魔する)
✔ 結果として誤りが積み重なり、説明できなくなる
この構図が、現在の斎藤県政にそのまま当てはまっています。
典型的事例:元県民局長に対する“告発者探し”
最も象徴的なのが、
**元県民局長の内部告発(文書問題)に対する“告発者探索と攻撃”**です。
これは、
- 告発文書を見た瞬間に感情的に「デマだ」と断定して沸騰
- 弁護士の法的意見を求める前の段階から通報者探索・懲戒を示唆
- 監察・弁護士に情報を限定して提供
- 会見で「嘘八百」「公務員失格」と怒りを爆発
という“瞬間湯沸かし器”的反応そのものでした。
その結果どうなったか?
- 第三者委員会が「違法・不適切」と認定
- 百条委員会でも違法の可能性を指摘
- 消費者庁・総理答弁と解釈が完全に逆
- 今も訂正できず説明不能に陥る
つまり、感情でやってしまったことを、今さら認められない状態にあるのです。
本人も誤りを理解しているが、訂正できない
斎藤知事は、表向きは強気の姿勢を続けていますが、最近の会見を見る限り、本人も内心では「自分が間違った」と理解し始めている可能性が高い。
しかし、以下の理由により訂正ができない。
✔ 過去の発言や行為と整合性が取れない
✔ 訂正すれば責任問題に直結する
✔ 面子が大きく傷つく
✔ 第三者委員会・百条委・総理答弁との矛盾が大きすぎる
✔ 追及されると“突破口”を与えると思っている
この結果、
「何も言えない」=「防衛モード」
という現在の状態になります。
現在の「防衛モード」の特徴
記者会見の様子から見える斎藤知事の現在の状態は、何も認めない。何も説明しないです。
具体的には——
●YES/NO を要求される質問にも答えない
(黒幕と思っていたか?偏向報道と思うか?)
●質問の意味を理解していても「理解しかねる」と逃げる
●あらゆる問題を「真摯に受け止める」でごまかす
●メディアへの不信感・被害者意識が強くなる
(=「切り取られる」恐怖)
●過去の誤りを認めると全てが崩れるため、沈黙しかできない
この“逃げるしか選択肢がない状態”が、現在の斎藤県政の異常性を作り出しています。
「誤りを理解しているからこそ、答えられない」
斎藤知事は今、自分の過去の行いが「感情的な誤りだった」と理解している。
しかし、訂正できない。
謝罪できない。
認められない。
だから、突っ込まれないように、全方位を防御し、ゼロ回答を繰り返しているというのが現状です。
これは、単なる不誠実ではなく、心理的破綻によって説明責任を果たせない状態です。
斎藤県政に必要なのは「謝罪」ではなく「リセット」
ここまで状況が悪化すると、単なる“説明不足”や“誤解”のレベルではありません。
- 公益通報者保護法の誤解釈
- 通報者への圧力
- 第三者委員会の否定
- 虚偽情報の受益
- 県庁の法治崩壊
- 職員の士気低下
- 記者会見の統治不能化
これらはすべて、トップの統治能力の限界を示しています。
本来必要なのは、「謝罪」よりも県政全体のリセットです。
この会見が示したもの
関西テレビ・鈴木記者の質問は、斎藤県政の核心を突いていました。
そして明らかになったのは、
「斎藤知事は質問に答えられない知事」である
という行政トップとして最も致命的な事実です。
さらには、
- 虚偽情報の受益者であるという自覚がない
- 報道を偏向と感じている
- 恐怖と被害者意識で萎縮している
- テンプレ回答しかできない
- 能力キャパシティが限界にある
- 感情的に判断したことは誤りだったと理解しているが訂正出来ない
という“統治不能の徴候”がすべて表れました。






