瀬戸内の牡蠣大量死 ― 広島と兵庫で、なぜ対応はここまで違うのか
瀬戸内海で相次ぐ牡蠣の大量死。
気候変動や高水温など、生産者の努力では避けられない不可抗力によって、各地の養殖業者は深刻な危機に直面しています。
こうした中、広島県と兵庫県の対応の違いが、あまりにも対照的であることが浮き彫りになってきました。
目次
- 1 広島県の対応|「生産の再建」に真正面から向き合う
- 2 市町レベルでも一貫した姿勢|東広島市・瀬戸内市
- 3 兵庫県の「牡蠣応援プロジェクト」|支援の矛先はどこへ?
- 4 「牡蠣応援」と「観光磨き上げ」は、本当に同じ方向を向いているのか
- 5 フィールドパビリオンという文脈を無視できない
- 6 目的と手段の整合性が取れない
- 7 「失敗を認めない政治」が、支援を歪めていないか
- 8 県民が求めているのは「説明」と「優先順位」
- 9 今、求められているのは「誠実な支援」
- 10 「県民ファースト」と「レガシー志向」の違いが、結果に表れていないか
- 11 本来あるべき政策の順序
- 12 今回の対応が、別の印象を与えてしまう理由
- 13 「やりたい政策」自体が問題なのではない
- 14 問われているのは「優先順位」と「柔軟さ」
- 15 「レガシー作り」に見えてしまう構造
- 16 支持は「作るもの」ではなく「結果として生まれるもの」
- 17 今、県民が求めていること
広島県の対応|「生産の再建」に真正面から向き合う
広島県は、牡蠣の大量死を産業基盤そのものの危機と捉え、明確に「再生産」を支える施策を打ち出しました。
主な支援内容
- 再養殖のためのいかだ再建費用を2分の1補助
- いかだ1台あたり上限50万円
- 対象は約4,000台
- 総額 約20億円 を一般会計補正予算に計上
- 財源は国の「物価高対応重点支援地方交付金」
- 融資利子補給など、当面の資金繰り支援に留まらない判断
広島県は、「融資や利子補給だけでは、生産量は維持できない」と明言しました。
つまり、生き残らせるのではなく、再び育てられる環境をつくるという判断です。
「カキ大量死の広島県、20億円で養殖業者支援 いかだを組む費用補助」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d76caef2db3f9cb678ca217bc228d94becf72d4(出典:朝日新聞 2025年12月13日)
市町レベルでも一貫した姿勢|東広島市・瀬戸内市
東広島市(安芸津町)
- 高水温等の影響で 水揚げした牡蠣の9割が死亡
- ガバメントクラウドファンディング(ふるさと納税)を活用
- 寄附金の使途を明確化
- 牡蠣養殖業者への復興経費支援
- 海洋環境改善の調査研究・対策
【拡散希望】本日、牡蠣事業に取り組まれている、邑久町漁協と牛窓町漁協の両組合長にお時間を頂き、ご状況とご要望をお伺いした上で、「ふるさと納税を活用した牡蠣事業者応援プロジェクト」の開始を、共にメディアの皆さまへご報告致しました。返礼品なしのふるさと納税で、手数料を除いた全額を牡蠣… pic.twitter.com/tN8ymBMIe1
— 黒石健太郎 | 瀬戸内市長(岡山県) (@kentaro9614) December 8, 2025
瀬戸内市
- 「返礼品なし・全額寄附」のふるさと納税
- 手数料を除いた全額を牡蠣事業者へ直接支援
- 漁協組合長と状況・要望を確認した上での迅速な立ち上げ
👉 共通点は明確です
「誰が困っていて、何に使うのか」が県民にも見える施策になっています。
https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/sangyo/12/5/44333.html
兵庫県の「牡蠣応援プロジェクト」|支援の矛先はどこへ?
一方、兵庫県の牡蠣応援プロジェクトは、次のような内容です。
「播磨灘の牡蠣を応援するため、
フィールドパビリオン等の観光コンテンツの磨き上げを行う」
重要な注記
- ふるさと納税の寄附金は
生産者に直接支払われない - 寄附金の使途は 県の観光施策
- 生産者支援は「別途予算措置」と説明(詳細は不透明)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk16/r7kakiouennpjkifu.html
「牡蠣応援」と「観光磨き上げ」は、本当に同じ方向を向いているのか
ここで多くの県民が抱く疑問は、極めてシンプルです。
- 牡蠣が大量死している今、
- 養殖業者が「次の牡蠣を育てられるかどうか」の瀬戸際にいる今、
なぜ優先されるのが「観光コンテンツの磨き上げ」なのか?
フィールドパビリオンという文脈を無視できない
兵庫県が力を入れてきた「フィールドパビリオン」は、
- 万博関連で 約45億円規模の投資
- 一部地域からは
- 「期待されたほど誘客効果が出ていない」
- 「万博期間中の集客が前年割れ」との声も出ている
つまり今、投資対効果の検証が求められている事業でもあります。
その中で、
- 「牡蠣応援」を掲げながら
- 実質的にはフィールドパビリオンの磨き上げに資金を充てる
この構図に、違和感を覚える県民が増えているのは自然なことです。斎藤知事は、自身の肝いり政策の失敗を絶対に認めたく無く、自分を正当化するために、明らかに変な文脈で支援策を行っていると感じられることです。
目的と手段の整合性が取れない
整理すると、兵庫県の施策は次のように見えてしまいます。
- 本来の目的:
気候変動で打撃を受けた牡蠣養殖業者の再生 - 実際の手段:
観光施策(フィールドパビリオン)への資金投入
このズレは、
- 生産者にとっても
- 寄附をする他県民にとっても
納得しにくいものです。
「失敗を認めない政治」が、支援を歪めていないか
斎藤知事が肝いりで進めてきたフィールドパビリオン。
もし期待した成果が出ていないのであれば、本来は
- 立ち止まって検証する
- 優先順位を見直す
ことが求められます。
しかし、
- 「牡蠣応援」という名目で
- 観光施策への追加投資を行うのであれば、
それは本当に困っている現場よりも、政策の体面を守る判断と受け取られても仕方がありません。
- 政策は失敗することがある
- 想定通りに成果が出ないこともある
それ自体は、どの行政でも起こり得ます。
しかし、
- 失敗や限界を一度立ち止まって検証するのか
- それとも別の名目で継続するのか
ここに、政治の姿勢が表れます。
県民が求めているのは「説明」と「優先順位」
多くの県民が求めているのは、
- なぜこの方法を選んだのか
- 生産者支援は、いつ・どの規模で行われるのか
- 観光施策と生活支援の優先順位はどう考えているのか
これらを、県民が理解できる言葉で説明することです。
今、求められているのは「誠実な支援」
牡蠣養殖業者が求めているのは、
- 派手なPRでも
- 観光パンフレットの刷新でもありません。
次の牡蠣を育てられるかどうか。
その一点です。
広島県や市町が示したように、
- 再養殖への直接支援
- 使途が明確な支援
は、十分に可能です。
兵庫県にも、
目的に立ち返った誠実な施策の見直しが強く求められています。
多くの人が共有できる考え方があります。
政治は、意図ではなく結果で評価される
今回の対応が、
- 本当に牡蠣養殖業者の再生につながるのか
- 県民の生活を守る結果になるのか
斎藤知事は誰のために政治をしているのか、県民ファーストでは無く、自分ファーストなのでは無いか?今まさに問われています。
「県民ファースト」と「レガシー志向」の違いが、結果に表れていないか
一般に、県知事という立場に求められるのは、まず県民の生活を最優先にした施策を行い、その結果として支持を得ることです。
これは、支持者・非支持者を問わず、多くの人が共有できる考え方ではないでしょうか。
本来あるべき政策の順序
本来、県政の施策は次のような順序で評価されます。
- 県民が直面している課題は何か
- 今、最も困っているのは誰か
- 限られた予算を、どこに優先的に使うべきか
- その結果、県民の生活は良くなったか
この積み重ねの結果として、「この知事は県民のために仕事をしている」という評価や支持が生まれます。
今回の対応が、別の印象を与えてしまう理由
しかし今回の牡蠣問題への対応を見ると、一部の県民からは、次のような受け止め方が生じています。
- 牡蠣養殖業者は、不可抗力による深刻な経営危機にある
- それにもかかわらず、支援の中心が「再生産」ではなく「観光施策」に置かれている
- しかもその観光施策は、知事自身が強く打ち出してきた政策と重なっている
このため、
「県民のための施策というより、
知事自身がやりたいことが優先されているのではないか」
という印象を持つ人が出てきています。
「やりたい政策」自体が問題なのではない
ここで誤解してはいけないのは、知事が独自の政策やビジョンを持つこと自体は、決して悪いことではないという点です。
- フィールドパビリオンのような挑戦的な政策
- 観光振興による地域活性化の試み
こうした取り組みが、将来の成果につながる可能性もあります。
問われているのは「優先順位」と「柔軟さ」
問題にされているのは、政策そのものではなく、
- 今、それを最優先にする必要があるのか
- 状況が変わったときに、立ち止まって修正できているのか
- 県民生活よりも前に出てしまっていないか
という優先順位と姿勢です。
危機の局面では、
「やりたい政策」より
「今、やらなければならない支援」
が優先されるべきだと、多くの県民は感じています。
「レガシー作り」に見えてしまう構造
今回の施策が、
- 牡蠣応援という名目を使いながら
- 実際には観光コンテンツの磨き上げに資金が使われる
という形になっていることで、
「無理をしてでも、自分の政策を成果として残したいのではないか」
「レガシーづくりを優先しているように見える」
という受け止め方が生まれています。
これは、意図の問題というより、そう見えてしまう構造になっていることが問題です。
支持は「作るもの」ではなく「結果として生まれるもの」
政治における支持は、
- 演出や説明で作るものではなく
- 県民の生活が実際に良くなった結果として生まれるもの
です。
県民ファーストの施策を積み重ねれば、結果として評価や支持は後から付いてきます。
今、県民が求めていること
- 県民生活を最優先に考えていることが、行動で伝わること
- 状況に応じて政策の優先順位を見直す柔軟さ
- 「誰のための施策なのか」が分かる説明
その積み重ねこそが、本当の意味での「知事の実績」になるはずです。
斎藤知事は、違法認定されたり、不適切と指摘されたことも含めて、県民に納得の行く説明をしていません。全てのことについて、県民と向き合う姿勢がありません。






