立花孝志氏の「自供」が兵庫県政を直撃する可能性──「コメント控える」では逃げ切れない重大局面へ

名誉毀損容疑で逮捕されたNHK党の立花孝志氏。事件の焦点は、竹内英明元県議への中傷発言にとどまらず、
その背後にある「情報源」と「政治的動機」にも向けられています。

もし立花氏が自供の中で、兵庫県知事・斎藤元彦氏やその選挙陣営に関する内容を語れば、捜査は単なる名誉毀損事件から、政治汚染・選挙違反事件へと一気に拡大する恐れがあります。

名誉毀損事件から「政治事件」への転換点

現在の捜査の焦点は、単なるSNS上の中傷発信ではなく、「誰が情報を立花氏に与えたのか」「誰が政治的に利益を得たのか」という構図の解明に移っています。

兵庫県警は、誹謗中傷を単なる表現の問題としてではなく、選挙や県政運営に影響を及ぼした情報工作の一端と見ています。

したがって、立花氏が「情報の出所」や「共犯関係」を明かした場合、事件は名誉毀損から政治不正へと段階的に発展する可能性があります。

立花孝志氏の「自供」には爆発的破壊力がある理由

立花氏は過去にも、複数の政治トラブルの中で自らの責任を軽減するために**“暴露”を武器にしてきた人物**です。

その行動パターンは一貫しています。

「自分だけが悪者にされるなら、関係者を巻き込む」

この性質を考えれば、今回の捜査でも「自分は誰かから情報を聞かされた」「斎藤陣営の認識に沿って発信した」などと供述するのは自然な流れです。

そして、その中に斎藤知事の名前が出た瞬間、事件は**“県政の中心に波及”**することになります。

自供の中で「知事に関する内容」が出た場合の波及シナリオ

① 選挙協力・打ち合わせの存在を供述した場合

「選挙中に斎藤陣営から支援の打診を受けた」
「協力関係があった」

➡ 公職選挙法上の“数量制限”違反の可能性。
➡ 知事本人にまで刑事責任が及ぶ恐れ。

② 情報提供・虚偽拡散を示唆した場合

「知事側から情報を聞かされた」
「特定の県議を攻撃するように指示を受けた」

➡ 名誉毀損共犯・教唆の可能性。
➡ 「知事によるデマ事件」へと発展。

③ 当選後の接触や“感謝”を供述した場合

「当選後に知事から感謝を伝えられた」
「協力への見返りがあった」

➡ 政治倫理問題に加え、不当な利益供与疑惑も発生。
➡ 県議会による不信任・辞職勧告へ進む可能性。

「コメント控える」では通用しない理由

斎藤知事は現在、「捜査中のためコメントは控える」と繰り返しています。
しかし、もし立花氏の供述が報道や検察資料として公になると、その沈黙は「隠蔽」と見なされる危険があります。

  • 沈黙は“知らなかった”ではなく、“語れなかった”と受け取られる
  • 後出しの弁明は信用を失う
  • 県民の信頼が回復不能に陥る

いずれにしても、沈黙の代償は時間とともに重くなるだけです。

重大局面となる三つの条件

シナリオ自供の内容法的影響政治的ダメージ
A選挙協力を認める公選法違反(数量制限)知事失職リスク
B情報提供・指示を示唆名誉毀損共犯・教唆辞職圧力
C感謝・見返りの供述政治倫理違反不信任決議の可能性

A~Cいずれかが立証されれば、
兵庫県政は**「政治的崩壊」レベルの危機**に直面します。

暴露の矛先が「県政トップ」に向く可能性

立花孝志氏の“暴露体質”は過去にも多くの政界人を巻き込んできました。
今回も、もし彼が「自分だけ罪をかぶるのは不公平」と感じれば、その矛先は確実に斎藤知事へと向かいます。

「コメントを控える」ことで時間稼ぎはできても、
「暴露」が始まれば、沈黙は防御にならない。

県政トップが語らないうちに、“語る男”がすべてを明かす――その時、県政は最大の転換点を迎えるでしょう。

警察・検察の強い意思・重大性を示す根拠

県警本部長が公の場で「全くの事実無根、明白な虚偽」と発言しています。

  • 捜査機関が「虚偽である」と断定的にコメントすること自体、非常に異例です。
  • これは捜査当局が相当な証拠・裏付けを持っている、あるいは発信内容が明らかに虚偽であると判断しているという強いサインです。
  • 特に「死者に対する名誉毀損」という重い法的構図があるため、捜査側の危機感・意気込みが高いと見られます。

逮捕・送検が迅速に行われています。

  • 逮捕記事が出ており、逮捕翌日に送検され、送検までのタイミングが早いという報道があります。

棚瀬氏は、逮捕事実が生前の元県議に対する名誉毀損(きそん)と、死後の名誉毀損の逮捕事実が2つあることに注目した。「言い換えれば、生前から死後に至るまで連綿と元県議を標的にした悪意のある誹謗(ひぼう)中傷が続いているというのは事実。悪質性の立証は間違いなくできる。あとは、死後の名誉毀損が仮に成立しなかったとしても、罪に当たらないとしても、生前は虚偽の事実かどうか関係ないので、本当のことであれ、うそであれ、生前の方の名誉を毀損していれば、犯罪事実として構成できますので、ここには相当の自信があるはずです」と解説した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/be5975133f0c6d8f50eece8d49cd7e1c81c8bbc6(出典:日刊スポーツ)

被害の性質と社会的影響が大きいです。

  • 被中傷者が元県議で、県議会の「百条委員会」で知事側の調査に関わっていたという背景があるため、「言論・民主主義の土台」に関わる問題として、社会的関心が非常に高くなっています。
  • 支持者・信者の動きも背景にあり、「信者らによる中傷拡散」「SNS連鎖」「選挙運動との関係」など、単純な名誉毀損にとどまらず、構造的な問題として捉えられています。

「発言した事実については争うつもりはありません」などと供述している

捜査関係者によりますと立花容疑者は取り調べに対し「発言した事実については争うつもりはありません」などと供述しているということです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1b0b592307b63c4ef89bf4584e0a1b81f23f8468(出典:MBSNEWS)

「事実を争わない」=発言の存在を認める

取り調べの段階で「発言したことを争わない」と述べるのは、

  • 自分がその動画やSNS投稿をした事実
  • その内容が記録・証拠として残っていること
    を認める、という意味です。
    つまり、「自分が言っていない」「デマだ」「編集された」などとは主張しない、という姿勢です。

この段階で争わないということは、警察・検察がすでにその動画・投稿・文字起こしなどの証拠を多数確保しており、発言の存在自体を否定するのが難しいと判断していると見られます。

「発言内容の真偽・違法性」はこれから争う可能性がある

発言したことを認めても、それが名誉毀損罪にあたるかどうかは別問題です。
名誉毀損の成立には、以下の三要件が必要です:

  1. 事実の摘示(具体的な事実を述べたか)
  2. 公然性(不特定多数が認識できる状態で述べたか)
  3. 社会的評価を下げる内容か

加えて、刑法230条の2に基づき、

  • 公共の利害に関する内容で、その目的が専ら公益を図ることにあったと認められる
  • 真実または真実と信じるに足る理由があったか
    といった「違法性阻却事由(正当化できる事情)」が考慮されます。

したがって立花氏は:

「言ったことは認めるが、それは公益目的であり、名誉毀損ではない」
「亡くなった方のことを取り上げたのは社会的問題提起だった」

という方向で弁明する可能性があります。

この発言が示す心理・戦略

この供述は「全面否認」ではなく、「部分的な認容+法的争い」に切り替えた構図です。
つまり、

  • 事実関係の証拠はそろっており、否認しても不利になる
  • 裁判での争点を「発言した/していない」ではなく「犯罪性があるか否か」に絞る
    という弁護方針が見え隠れしています。

立花氏の過去の裁判でも、

  • 発言内容の公益性
  • 真実相当性
  • 政治的発言としての表現の自由
    を盾にする戦略を取ってきたため、今回も同様の方向が想定されます。
観点意味・影響
発言した事実認めている(動画・SNS投稿などを否定しない)
名誉毀損の成立否定する余地を残している(違法性を争う可能性)
弁護方針「公益性・表現の自由・真実相当性」で対抗する構え
捜査側の印象発言自体を認めたことで、証拠構成が容易に。起訴の方向性が強まる

「真実相当性」は“主観的な思い込み”では通らない

「真実と信じるに足る相当の理由があるとき」は名誉毀損にならない
とされています。

この「相当の理由」は、
単なる「自分はそう思った」ではなく、客観的根拠に基づく合理的信頼性が求められます。
つまり、以下のような裏付けが必要です:

要件内容
情報の出所誰から・どのように情報を得たのか(人物・資料・証拠)
情報の信用性その情報源を信頼する合理的理由(職務・関係・実績)
検証行為自分で裏取りをしたか、他の資料で確認したか
発信意図公益目的か、それとも攻撃・扇動目的か

立花氏がこれらを証明できなければ、「真実相当性あり」とは認められません。
したがって、自ら「どこから聞いたのか」「誰に聞いたのか」「どう確認したのか」を明らかにする以外に道がないのです。

「公益性」「表現の自由」を主張するにも情報源の裏付けが必要

仮に立花氏が

「これは公益のための発言であり、表現の自由として保護される」
と主張する場合でも、次の二点が問われます:

  1. 公共の利害に関する事実か?
     → 百条委員の活動や県政疑惑など、公共性のあるテーマであることは一見認められます。
      しかし、亡くなった竹内氏を虚偽に基づいて攻撃したなら、「公益目的」ではなく「誹謗中傷」と判断されます。
  2. 公益目的であっても、根拠を欠く発言は保護されない
     → 表現の自由は「真実性・相当性」を伴う範囲でのみ保護される(判例:最高裁昭和61年6月11日「政治家汚職報道事件」)。
     → よって、公益性を盾にするには、やはり「根拠(情報源)」を提示する必要があります。

情報源を明かさざるを得ない構図

このため、裁判で「真実相当性」を主張する被告(発信者)は、必ず「情報の入手経路」を問われます。

典型的な流れは次の通りです:

  1. 検察:
     「どのような資料・人物から情報を得ましたか?」
  2. 被告(立花氏):
     「〇〇氏から聞いた」「△△文書を見た」「県庁関係者から提供を受けた」
  3. 検察:
     「その人物の立場は?」「裏付けを取りましたか?」
  4. 裁判所:
     「情報源の信頼性・確認行為の有無」を判断材料にする。

これにより、立花氏の“発言の裏”にいた人物(情報提供者・リーク元)が浮かび上がることになります。

捜査側が注視している点

警察・検察もここを最も重視しています。
もし虚偽情報が立花氏の周辺(あるいは知事選関係者・県関係者など)から流されたとなれば、単なる「名誉毀損」ではなく「共犯」「教唆」「偽計業務妨害」「守秘義務違反」など、捜査の射程が一気に広がる からです。

特に:

  • 「虚偽情報を作った人物」
  • 「それを立花氏に渡した人物」
  • 「その後SNSなどで拡散した人たち」

この三層がすべて刑事責任を問われる可能性があります。

現実的な展開予測

現時点で立花氏が供述している

「発言したことは争わない」
という姿勢は、すでに「誰から情報を得たか」の供述を誘導する段階に入っていると見られます。

そして、裁判で「真実相当性」を主張する限り、
情報源を明かさなければ論理的に成立しない。
その情報源が虚偽を知っていた場合、その人物も刑事責任を問われる。

このため、今回の事件は今後、

  • 「立花氏単独の名誉毀損」では終わらない
  • 「虚偽情報の発生源」まで捜査が及ぶ構造
    になると予想されます。