繰り返される個人情報漏洩が示す、兵庫県政の深刻な異常

斎藤元彦県政について、「評価は人それぞれ」「賛否が分かれる」という言い方がされることがあります。
しかし、現状を直視すれば、もはやそのような次元の話ではないと考えざるを得ません。

半年で相次ぐ個人情報漏洩という現実

神戸新聞は、兵庫県が神戸市など複数の市町に対し、集落営農組織の代表者およそ600人分の電話番号などの個人情報を誤って送信したと報じました。

https://kobe-np.co.jp/news/society/202512/0019807939.shtml

ここで重要なのは、これが「単発の事故」ではないという点です。

今年に入って、兵庫県ではすでに――

  • はばタンPay+における大規模な個人情報漏洩
    (マイナンバーカード情報、マイナンバーまで閲覧可能な状態)
  • 県立病院・医療機関からの個人情報漏洩が複数件
  • 県職員による事務手続き上の個人情報漏洩が相次いで発覚

これらはいずれも、2025年6月以降、わずか半年の間に集中して発生しています
1年を通じて散発的に起きたのではありません。
短期間に、同種のインシデントが立て続けに起きているのです。

「真摯に受け止める」が繰り返されるだけの県政

これらの事案が起こるたび、県側から示されるコメントは、ほぼ例外なく同じです。

「真摯に受け止める」
「適切に対応する」
「再発防止に努める」

しかし、結果はどうでしょうか。

「しっかり対応している」と説明しながら、なぜ半年の間に、これほど多くの個人情報漏洩が繰り返されるのか。

しかも問題は、総務部長による情報漏洩疑惑のような悪意を伴う特殊事案だけではありません。
単純な事務手続き上のミスによる漏洩が、組織的に発生し続けている点に、より深刻な問題があります。

問題は「個人」ではなく「組織」にある

個人情報漏洩が頻発する組織には、共通点があります。

  • チェック体制が形骸化している
  • 現場が疲弊し、確認プロセスが機能していない
  • 「前例踏襲」と「その場しのぎ」が常態化している
  • トップが、問題の本質を直視しない

これは、担当者個人の注意不足で片付けられる話ではありません。
組織としての統治能力そのものが低下している兆候と見るべきです。

「意識を徹底する」という言葉が、なぜ危険なのか

県民局は次のようにコメントしています。

「個人情報に関する意識を徹底するよう指導し、再発防止に努める」

しかし、ここに大きな問題があります。

  • 意識の問題にすり替えている
  • 仕組み・責任・チェック体制に踏み込んでいない
  • 再発防止策が具体化されていない

これは、過去の

  • はばタンPay+
  • 公益通報問題
    と同じ対応パターンです。

「意識の徹底」では、再発防止にならない理由

県は今回の事案について「個人情報に関する意識を徹底するよう指導し、再発防止に努める」と説明しています。

しかし、この説明には大きな問題があります。
それは、原因を「個人の注意不足」にすり替えている点です。

今回起きたのは、ToとBccの使い分けや、WordファイルをPDFに変換するかどうかといった、日常業務のごく基本的な工程でのミスです。
このようなミスは、特定の担当者の意識の問題というよりも、誰にでも起こり得るものです。

組織運営やリスク管理の基本は、「人は必ずミスをする」という前提に立ち、ミスが起きても事故にならない仕組みを整えることにあります。
にもかかわらず、今回の説明では、送信前のダブルチェック体制や、個人情報を含むファイルの扱い方、委託業者を含めた統一ルールの整備など、組織として何をどう改善するのかについては一切触れられていません。

個人の意識に頼る対策を続ける限り、同様の事案は今後も繰り返される可能性が高いと言わざるを得ません。
本当に必要なのは、担当者を指導することではなく、組織として再発を防ぐ仕組みを構築することではないでしょうか。

県政を取り巻く四重の圧力

現在の兵庫県政は、同時に複数の方向から強い圧力を受けています。

  • 県議会からの厳しい追及
  • 記者会見での継続的な質問と批判
  • 県民による抗議やプロテスト
  • 国会での問題提起・追及

それに加えて、県組織内部でも統制が揺らぎ、崩壊寸前ではないかと疑われる状況が見え隠れしています。

士気の低下と萎縮が生む「見えない事故」

職員の士気が低下し、萎縮が進む組織では、

  • 余計なことをしない
  • 問題を指摘しない
  • 前例どおりに流す

という行動が増えます。

その結果、

  • 表に出ないヒヤリハット
  • 未報告のミス
  • 揉み消されたトラブル

が積み重なり、表面化した時にはすでに深刻という状況になりがちです。

今回の件は、氷山の一角である可能性を否定できません。

放置すれば、次に起こり得ること

この状態を放置すれば、次に起こるのは

  • 内部文書や調査資料の誤送信
  • 公益通報者の特定につながる情報漏洩
  • 補助金・契約・選挙関連情報の管理事故

です。

いずれも、県民生活や民主主義の根幹に関わる問題になります。

知事は「徳俵」に足がかかっているのではないか

本日の菅野完氏のYouTube配信でも指摘されていましたが、斎藤知事はすでに末期状態ではないでしょうか。

これは、誰かを感情的に攻撃するための指摘ではありません。
県政を預かるトップとして、ここまで組織が劣化している現実に、正面から向き合えているのか、その一点が、今、厳しく問われています。

いま求められているのは「説明」と「構造改革」

必要なのは、
抽象的な言葉の繰り返しではありません。

  • なぜ再発防止が機能しなかったのか
  • 組織として何が壊れているのか
  • 誰が、どこまで責任を負うのか
  • 具体的に、何をどう変えるのか

これらを具体的に説明し、県民と共有することこそが、
県政トップに求められている最低限の責務ではないでしょうか。